第5話 妖精について。

前回の話で書いた通り、

幼い頃の私は悪くいえば、

騙されやすく

良く言えばピュアでもありました。


姉は思春期真っ只中

母は妹のお世話。


なので、学校が終わると

ほとんど遊びに出掛けていましたが、

家にいる間は漫画を読んだり

雑誌を見たり。

影響をそのまま受けて、

どんどん夢見がちになっていった私。


そんな時にどハマりしていたのが、

「妖精」。


妖精は私達のすぐそばにこっそり存在していて、何かの拍子にあなたの元へ来てくれるかもしれません。


とか書いてあるものだから、

毎日妖精に会えますようにと願って

暮らしていました。



妖精文字という暗号のような字で手紙を書き、「良かったらここで羽根を休めてくださいね」

とティッシュで作ったベッドを用意して眠りました。


すると翌日、

私お手製のティッシュベッドの上には

不自然な程に真四角な小さなパンが置いてあったのです!!


妖精雑誌によると、

お礼の品を置いて行ってくれた時には

土に埋めましょうとまで細かく書いてあったので、私は妖精が来てくれたことに大喜びしながら、雑誌に書いてある通りに庭に穴を掘って埋めました。


今でもよく覚えています。

真四角のパン。


クルトンみたいだけれど、

クルトンではない。


不思議な体験でした。



ちなみに、家族の仕業では?

と疑念もあるかと思うのですが

我が家で私のファンタジーに付き合うタイプの人間はいません。


それどころか、母と姉は真四角のパンを見て

かなり気持ちが悪がっていました。









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