第4話 姉の話。
昔、まだ私が小学生の低学年だった頃の話。
雪国に住んでいたので、
父は関東に出稼ぎに出ていて
我が家は母と姉と私と妹の女衆だけで
暮らしていました。
5つ上の姉は、
ジャイアン気質なので、
俺の物は俺のもの。
お前の物も俺のもの。
な人でした。
例えば、
3連のプリンが冷蔵庫にあって、
3姉妹なのだから、
1人1個が当然と思っている私。
明日食ーべよ♪と悠長に構えていたら
大体次の日には全部無い。
姉が2個食べちゃう。
(妹は要領がいいのでちゃんと食べられる)
秩序を壊す。
それが姉なのです。
そんな姉が小6の頃、
光GENJIに夢中で、
ちょうどミーハーなテレビっ子の時期。
私はまだ何かのファンというには幼くて
姉の良しとしているものを
追いかけている小学1年生でした。
姉は毎週の様に
音楽番組を楽しみにしていて、
その中でも夜のヒットスタジオは
かなり遅い時間でも見ていました。
実際は10時スタートだったのかな?
今思うとそんなに遅い時間じゃないけれど、
小1の私には深夜か?と言うくらい
遅くに感じていました。
妹がまだ赤ちゃんだったので、
母は先に寝てしまうし。
姉は、1人で夜遅く起きているのは嫌だったのか、必ず私も道連れの様に夜ヒットを
見せられていました。
でも、いつも21時には寝ている小1には
眠くて眠くて。
始まりは起きていられても
途中で必ずうつらうつらとしていました。
そうなると姉は、
私に水をかけて起こすという非道さ。
いやいや、
1人で起きているのが嫌とはいえ
同じ空間にはいるんだから、
自分はテレビ見てりゃーいいじゃん。
水をかけてまで私を起こす姉は
一体何だったんだか。
そんな事もあり、
母のいない時間に姉と二人になるのが
かなりイヤでもありました。
とはいえ、姉からの影響はかなり受けていて
何をするにもついて回ったりも
この時期くらいまではしていたのですがね。
ただ、ある日のこと。
姉が突然、あんたには呪いがかかっているから、御守りが必要!
買ってきてあげるから
あんたのお小遣い1000円を
私に渡して!
じゃないと、本当に呪いで大変なことになるよ!
と言い出したのです。
めちゃくちゃ怖がりで弱虫だった私は
すぐに姉にお金を渡しました。
…まぁ、姉は友達と出掛けるのに
お金が欲しかっただけなんですけどね。
けれど、この嘘はしばらく続きました。
夜ヒットの時間帯のCMに出てくる怪しい外国の美人を、呪いの魔女だと言ったり。
確かに昼間のCMでは見たことない!!
と私は更に怖がりました。
でも、お金を何度渡しても一向に御守りはくれないので、母に言うと呪いが強くなるという姉からの掟を破り、さすがに母に泣きつきました。
すると、驚いたことに
「騙されるあんたが悪い」と
言われて終了〜。
騙されていたことにもそこで気付いたので、驚いたけれど、
これ、私が悪いの!?
とそこで生まれて初の不条理を家庭内で味わったのでした。
鬼の様な姉のエピソードばかりを
書きましたが、
私が学校に嫌な子がいて、
行きたくないと泣いた時には
わざわざ6年生が1年生の教室にやってきて
「妹が嫌がっているからやめてよね」
と言いに来てくれた事もありました。
鬼は鬼でも
良いところがちょっとだけある鬼なのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。