第3話 運命とは、

(いってぇ……って、こんな場所に長くいたら目立っちゃうじゃん!?)


と思い、僕は直ぐに体をおこし辺りを見渡してみると…


「なぁに~、あの子。無礼ね」


「ねぇ、見て!!あの子の胸元!?」


「やだ!?オメガじゃない」


気づくのが遅かったのか、周りは僕の姿を見るなり口々に汚いだの無礼だのと吐き捨てた。


(僕だって、オメガなんかになりたくなかったよ…)


僕は心の中でそう呟きながら、ばらまいた荷物を拾い始めた。


(あとは…ノートと筆箱だけか、)


と、先に筆箱を拾いしまっていると目の片隅に誰かが自分のノートを拾う姿が目に入った。

そして、その拾ったノートを僕の方まで持って来たかと思うと、


「これは、君のだよね?」


そう言って、僕の前に差し出してくれた。


「あ、ありが…とう、、、」


[ドキっ…]


(?、ん?)


僕は、そういい差し出されたノートを受け取った。


「なんてお優しいのかしら」


「さすが王子様!」


(王子……様?一体誰なんだろう…あっ、そんなこと考えてる場合じゃ!いつまでこんな所に、)


そう思い、ノートをしまいながら立ち上がり、


「あ、ありがとうございました!?し、失礼します」


僕は勢いよく頭を下げ、その場を立ち去った。



────────────────────



「おい。朔夜、大丈夫か?」


「何がだい?」


「あの子、オメガだろ!」


「はぁ、生徒会副会長がそんな事言うなよ。それに俺は、彼に少し興味が湧いたんだ」


「またか……。いい加減にしとかないとまた、理事長に…お父様に叱られるぞ」


「はいはい」


「会長~、副会長~、行きますよ~♪」


「行こうか」




こうしてまた、僕の平凡な高校生活が崩れていった。




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