第四限 女の子はだれでも ~Virtur Sugar or Secret Spice~
第17話 パーフェクトブルー
空はどうして青いのだろうか。
それはつまるところ、人は誰しも青春に憧れ、Hysteric Blueに胸を打たれ、ブルーハーツに刺激を受けて、ブルース・リーの真似をし、青の洞窟に舌鼓を打ち、蒼穹で感極まってFeel高まっちゃうように、誰もが青へと恋焦がれるためなのではないだろうか。
だから陽キャのパリピはすぐ青い海に駆り出すし、陰キャのヲタは蒼井翔太に回帰して悠木碧の豚になる。経営戦略ではブルーオーシャンが注目を浴びるし、青山学院大学はウェイに人気。青山テルマはあなたのそばにいる。
それと全く同じ原理で、人は青い空へと羽ばたきたいと思ってしまう。わけもなく、根源的に。その正しさは、ライト兄弟や鳥人間コンテストが証明してくれるだろう。
そして、人はあるとき、その欲求を果たし、宇宙へと飛び立った。青を目指していたはずが、青い地球の外へと飛び立ったのである。青の果てに、青の外より出たのだ。青への欲求が、最終的には青を否定したのである。これはつまり、青春に明け暮れるということは結果的に青春を否定することであり、同時に青春を謳歌出来ていない俺は逆説的に青春の素晴らしさを肯定しているのであって…………。
そこまで考えが及んだところで、チャイムが鳴った。
退屈な四限の数学が終了し、俺はいつも通りスマホに手を伸ば――さない。
コスプレイヤーやVtuberのツイッターを見たりも――しない。
なぜなら、今日の俺には、とある使命がある。
それに、コスプレイヤーなら、もう……。
数学教師が教室を出て、クラス内がざわめきだしたのをしっかりと確認してから、俺は怪しまれぬよう、教室の外へと歩み始めた。一応、四鬼条にも、さりげなく合図をだして。
辺見は、今日も今日とて上位カーストの皆さんと仲良くお弁当を食べていた。
けれど、俺のお目当ての人物は――。
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