第3話 ……あれ?どこだっけ

死体を眺めて待つこと数分

突然、激しく風化が始まり、骨も残さず消えた


「…困ったな」


死体が残っていれば他に人がいた事を把握できた

しかしそれも叶わない…

他に人がいる手掛かりも得られない


そこでふと思う


「……ここどこ?」


見切り発車した俺は我に返ったのだ

なんの情報も無く放り込まれた事を自覚する

とりあえず何か情報を探す事を決意する

そして目の前にある壁から調べることにした


物資が足りない今、使えるものは使いたい

【戦場にある全ての物は武器とも罠ともなりうる】

だからこそ、使える物の把握はしておきたい


見た目はゴツゴツした岩なのだ

少し位なら削れるだろうか

…もし削ることが出来たら、破片を利用して

敵の注意をそれに集める事が可能になる

もう、無茶な戦闘はせずに済む


そっと脛のナイフを抜き、細く出っ張った所に突き立てる

方向を確認し、一瞬だけ力を込めた


「……!?」


手でも折れそうな細さなのにも関わらず

折れるどころか突き立てた傷すらない

異常な硬度を持つ事は分かった

しかしそれだけでは解決に至らない

もっとここについて理解せねば


先程の死体といい、壁といい……

不思議としか言い様のないこの場所

その中で冷静に戦況を把握・理解出来たのは

奇跡なのだが……そう言うのにも無理がある


「……進むか」


上に行く道を進むのが鉄則だろう

だってここは恐らくだが、地下にある

こんな大掛かりな岩を運んで地上に高く積むとすれば

かなりの労力と時間がかかる

だが、地下に掘って作るなら遥かに作りやすいはずだ


少し広い、さっきの戦闘を繰り広げた部屋を進み

奥にあるまた細い道に入る


道幅は2.5mほど、高さ5m弱の通路は

少しだが風を感じる

この道で合ってるといいが……


​───────


「せぇやぁぁ!」


跳躍してきたアリに対して

こちらは『スキル』で対抗する


剣を肩と同じ高さまで持ち上げ、引き絞る

そして剣先に“わずかに”力を込める


すると、剣と腕がわずかに光り出す

そして体が弾き出されるように動く

それと同時にアリは、顎を開き噛み付く予備動作をとる


弾き出される体の勢いを乗せた重い突きが

アリの顎を貫き、衝撃が体を貫通する

片手剣初級、単発刺突技『アクセル』


これを1度使うことで、ステータスにある

回避・敏捷性が1ずつ上がるボーナスを得る

『武器スキル』は主にレベルとステータスが

一定の数値を超えると解放されていく


「……ふぅ」


左手に意識を集中させ、リストを開く

項目は上から順に

レベル、HP、MP

そして

筋力、敏捷性、器用さ である


一応、次の枠に

職業:

とあるが、選択していないため空白だ


白咲 優奈しろさき ゆうな

この世界に招かれた

そしてギルドなる連盟に冒険者として加盟した


……元は幼馴染のいる普通の少女だった

その幼馴染を少し気にしていたのだ


だがそれも、幼馴染が突然の転校・引越しで会えず、

連絡も取れない事で彼女は歪みだした

❦ℯꫛᎴ❧

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