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村の近くにある沼まで足を運ぶものそこにめぼしい魔獣の姿はなく、その後も脅威になりそうな魔獣に出会うことはなく、仕方ないので手土産程度で狩りをした小型の草食系魔獣ププアを2匹と、ミーシャの魔法のおかげで難なく取ることできた甘蜜バチの巣を回収して村に戻る。
ププアは組合に売ったところで対した金にはならないので、宿の店主に売ることによって料理代金を値引きしてもらい、甘蜜バチの巣は冒険者組合を同時に行っている店に売ることによって銀貨にして15枚。そこから蜜を小瓶1つ分もらうのに銀貨1枚を払ったので結局銀貨14枚の得。
「その蜂蜜はどうするの?」
「明日の朝にでもパンにつけて食べてもいいかなって思ってな」
時間はすぎ、夜食を頬張る。
手土産に持って帰ってきたププアの肉に焼き野菜、あとはふかしたイモ。
足りないならば後で追加で頼む事もできるがこれで1人前で銀貨4枚。勿論肉代は引いて貰っているが調理代は取られている。
冒険者組合では、本日の報告を済ましており。
村から少し離れた場所に大型な魔獣や小型で数匹の群れで行動する魔獣も見かけたが、どれも気性が大人しいのでそいつらをどうするか、村近くにはいなかったものの沼付近にはリアモスガエルと思う足跡はあったが本体がいなかったので辺りを探索したが見つかることが出来ていないことを報告した。
「そうか、なら大人しい魔獣は刺激しないようにして明日も探索を頼むよ。あの沼は熱い日には村の遊び場にもなるような場所だからね。リアモスガエルは繁殖力が高いから見かけ次第駆除してくれ」
との事で明日も1日探索予定。
本日と時間を変えて午前中のうちに沼に向かう事になった。
「ぁ、意外とおいしい!」
宿の食事場にて、ミーシャはププアの肉を頬張りながら明日の予定について話し合いをする。
「ププアの肉なんて滅多に食わなかったろ?」
「う~ん、安い肉だからってので家では出たことなかったかな?」
「別に不味くないんだけどなー、肉に油乗ってないから人気ないんだよな、俺は安い割に上手いから好きなんだけどな」
ジンに至っては自身の懐から金を取り出し、酒を一杯追加で頼む。
滞在中も両親との食事の際は少量だろが共に酒を交わしており、酒自体はよく飲むようになっていた。
冒険者同士の会話の席であるとお互い話をしやすく、気も大きくなるため仲良くなりやすかった。
時折、厄介な事になったりしたものの量さえ抑えれば美味しい飲み物である。
「お兄ちゃんもいつの間にかそんなに飲むようになったんだね~」
そんな姿を見られているが、ジンにとってはミーシャが酒を飲んでおり、酔っ払っているといった風景の方が驚きではあった。
「お前は弱いんだからしばらくは飲むなよ? 飲んだとしても俺が近くにいて許可したときだけだぞ?」
「えー! 果汁酒好きなのに!」
「どうせ甘いやつだろ? あんなの大きな街とかいかねぇとねぇからな? 大体がこれだ」
ジンは一口だけだといってミーシャの酒を飲ます。
ジンの飲んでいた酒は麦から出来ているエールと呼ばれる酒。
場所によって味の良し悪しはあるものの、いたって普通の味。
「うげぇ、苦ぃ…前にお父さんが飲んでたヤツだ……私にはまだ早いかな~」
ジンからしてもずっと飲み続けるには苦く感じてくるものの、食事と共に1~2杯飲む分に当たっては美味しく感じる。それ以上になると、酔いも増すためよっぽどの事がないと飲むことがなくなった。
「明日はいってた通り、午前中のうちに沼までいくぞ? それ次第で討伐しちまう」
「やっぱり私1人でだよね?」
「だな、今日のププアだってしっかり狩れてたから大丈夫だろ。攻撃してくるような魔獣を狩る練習なんてしてこなかったもんな、最初は誰だって外したりするさ。たぶんリアモスガエルだって襲ってくるだろうから、覚悟はしとけよ? 構えてても正面から食らうと痛えから」
「大丈夫! 痛いのには耐える自信があるし! 回復魔法だって使えるからぱぱっと直しちゃう!」
「初心者冒険者にあるあるを1つ! 油断大敵! ちょっとした事でも怪我につながるし、魔力が尽きたら回復魔法も使えない! なにより痛い事は痛い! 攻撃は当たらないことが一番だからな?」
「うん、わかった!」
食事を済まし、部屋に向かう。
討伐だけの依頼なら今からでも向かって一日でも早く魔獣の駆除をしてしまってもよいのだが、明日まで探索を命題にした依頼のため、早急に終わらしてしまってもやる事は変わらない。
夜中になって活発的になる魔獣もおり、いくら獣人だからといって夜の視界は狭くなる。常に集中する事によってあたりを多少なりとも察知する事はできるだろうが、昼間に比べると随分と劣るため、もとより野生の魔獣には一歩劣るだろう。
逆に、夜にしか戻ってこない魔獣の討伐依頼だってあるのだからある程度の状況下では対応できるようにしなければいけないだろう。
「あの時はありがとね?」
「ん?」
互いに布団に入り少しした後、唐突にミーシャがジンに言葉を投げかける。
「何のこと?」
「……ブルドッキ君に対して怒ってくれて」
日にちにして数日前に事。ジンからすれば当然のことで今更お礼を言われるようなことではない。そもそもお礼を言われる立場ではないのだ。
「なんでお前がそんなことを言うんだよ?」
「だって私達のために怒ってくれたんでしょ?」
「ちげぇって、あれは俺の為に怒ったんだよ。俺が俺の家族についてバカにされたんだぜ? そりゃ俺じゃなくても怒るって。ミーシャだってあんとき怒ってたろ?」
「そうかもしれないけど……うん、そうだね。急にごめんね?」
「気にすんな」
「あとあれだね! お兄ちゃん本当に私との対決の時、手を抜いてたの? ブルドッキ君に突っ込んでいく時、めちゃくちゃ早かったよね?」
「だからもう一回しようっていったじゃねえか! まぁ、手を抜いてたってのも嘘じゃないんだけど、勝ちにはいってたぞ? それで負けたんだからなんも言えねぇよ」
「じゃぁ私との時も本気……だった?」
「最後はな。それでもミーシャが勝ったんだから、自信持てって」
「……でも…やろうと思ったら最初からあの速さで…動けたの?」
「まぁな。速度の出し方も色々あるんだけど、それは明日になったらついでに教えてやるから今日はとりあえず寝とけって」
2人の会話はそこでミーシャが返事をするかと思いきやすでに睡眠に入りかけていたようで、小さな声で返事を返すミーシャ。それ以上の会話を続けることは出来ないだろうと思い、ジンも眠りにつく。
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