#6




 彼の片手がジャケットの胸元に忍び込んで来た。カットソーのシャツの上から、バストのふくらみを包まれる。

 そして、もう片方の手で顎をソフトにつかまれ、後ろを振り向かされたリエに、彼の唇が迫ってきた。


 んんんん……。


 唇を吸われ、舌を入れられ。

 リエの理性が溶ける。


「電動歯ブラシの振動」

 キスを離して。

「パンツの上から当てちゃうんだ?」

 また、キス。

「それって、すんごいヤラシくない?」

 前歯を舐められ。

「バイブとかより、むしろエロい…よね?」


 片手はカットソーの襟ぐりからデコルテを通り、ブラの中に入ってくる。


「あぁ…すごい…もうこんなに硬くなっちゃってるよ? どうして?」


 そう言いながら彼の指はリエの乳首をつまむ。

 指先でするどく潰されると、


「ひゃっっ!!」


 思わず声が漏れてしまう。


「エッチな声、出ちゃうね。

 それに、すっごい乳首、勃起しちゃってる」


『乳首』『勃起』…。

 普段は決して口にしない卑猥な言葉を巧みに選びながら、彼はリエのスイッチをひとつひとつ、入れてゆく。


 その指が、カットソー越しでも豊かなリエのバストを鷲掴みにしているのがわかる。


「すっごいやわらかいね…おっぱい、揉まれるとどうなっちゃう?」


 大きな手が、ブラカップのなかでリエのたわわな乳房を包み込み、ゆっくりと揉みしだいてゆく。

 指の股に乳首を挟まれて、やわらかくこねくられながら、五本の指が量感のあるふくらみを陵辱してゆく。


「んんんん…、やぁぁ…」

「どうなっちゃうの? こうやってモミモミされると…おかしくなっちゃう?」


 誘い水を向けられて、リエはゆっくりと追い詰められてゆく。


「乳首挟まれて…気持ちよくなっちゃうの?」


 リエは唇に片手の爪先を当て、コクコクと首を縦に振る。


「言葉にしてごらん。気持ち良くて、おかしくなっちゃう?」


 執拗な問いかけ。


「…はぃ」


 エリの小さな声が漏れる。

 と、彼は瞬時にソファーをまわり、エリの正面に回り込む。そしてあっという間にカットソーをたくし上げると、背中のホックを外し、ブラカップをズラした。

 エリの白い陶器のような乳房が、こぼれ落ちる。

 白さの中に、薄青い静脈の筋が透けて、その先端にピンク色の乳首が屹立している。


「あぁ、ヤっ…」


 エリの言葉より早く、彼はそのむき出しの乳房を手に取り、アンダーカップを包み込むようにした。


「すっごい綺麗なおっぱいしてるね。それに…すごい乳首立ってるじゃん」


 フワフワと乳房を揺らすように手のひらがリズムをとる。


「舐められたら、感じちゃう? お口に含んで欲しい?」


 リエはいやいやをするように首を振る。


「嫌ならヤメちゃうよ? ヤメていいの?」

「嫌だ。ヤメないで」

「ならちゃんとおねだりしてごらん」


 唇を強く引き締めて口を閉じるリエに、彼の指と言葉が追い詰める。


「乳輪も、すっごい興奮して、色濃くなってるよ」


 そう言いながら、指先で敏感すぎる突起のまわりのピンクのリングをなぞる。


「あぁ…いゃ…ダメダメ」

「舐めて欲しい?」


 舌を伸ばした彼が訊く。


「舐めて…」

「舐めてください、でしょ?」

「…舐めて…舐めてください」


 彼の唇がリエの乳首を捉える。

 あたたかでぬめる口の中に、敏感すぎる乳首を含まれた途端、


「ひっ…スゴ…や…やぁぁ」


 リエの声がオクターブ上がる。

 乳首にしゃぶりつく彼の頭を抱えて、痺れるような快楽に全身を浸すリエ。

 彼の前歯が乳首に立てられると、その甘かゆいような痺れが、腰の奥から全身に広がる。


 ピチャピチャ…。

 チュパチュパ……。


 彼の淫らな口音が、部屋に響く。


「あぁ…んんんん…くぅぅ…」


 同じように快感に溶ける、リエの甘いあえぎ声が、その場に満ちる。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る