第44話 初デート②

古い家は喫茶店だった。

ここら辺はよく来るのにこの家が喫茶店なんて知らなかった。

「おじいさーん。いつものコーヒー一つお願いします。この喫茶店のコーヒーとても美味しいだよ。優希は何頼む?」

桜井さんはこの店の常連さんらしい。

「じゃあ。俺もコーヒーでお願いします」

数分後、おじいさんがコーヒーを持ってきてくれた。

「これ。サービスね」

そう言ってケーキを二つ置いていった。

「ありがとうございます」

ゴクっと一口コーヒーを飲んんだ。

うまい。後味がすっきりしていてそれでいてコーヒーの風味がよく出ている。

「ね。美味しいでしょ」

「うん。とても美味しい」

桜井さんニコッと微笑んでコーヒー飲んだ。

次に俺はケーキに手を出した。

甘い。…とても甘ったるいケーキだ。だが、桜井さん目の前でそれを美味しそうに食べている。これは、俺も美味しそうに食べなければならない。そう思ったが、

「ここの喫茶店、コーヒー以外はイマイチで、だがらそれを美味しそうに食べるという演技の練習をよくしていたんだ」

「…そうなんだ」

近くにおじいさんがいるのにそんな事言っていいのだろうか。

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