第37話 サプライズ⑨

セリフが分からなく、困っていると姫役だったはずの光が舞台横からカンペで指示をしてくれた。

「…あぁ。だが、お前が姫を助けようとしたお陰で奴にここが気づかれたみたいだな」

「それは悪かったと思っている。だが、一言ぐらいこの事を教えて…」

「ガオォォォォ!」

ドラゴンの声が勇者の声をかき消して、火を吹いた。

あち。この炎は本物だ。

「…勇者よ。こうなったら仕方がない。ここで奴を倒すぞ」

「あぁ」

二人で剣をドラゴンに向ける。

ドラゴンとの死闘が始まった。

俺が剣でドラゴンの大きな爪を弾く。

次にドラゴンは火を吹いた。それを勇者が俺の前に出て盾で防ぐ。

周りから見れば何回も練習したコンビネーションだと思うかも知れないが違う。すごいのはこの勇者だ。この勇者がこのミュージカルを俺が引っ張って行っているように見せている。

勇者がドラゴンの顔を抑える。

「今だ!」

「うおぉぉぉぉぉ」

俺の剣がドラゴンの胴体ど真ん中に刺さった。

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