第29話 ハワイで迷子④

こうなったら、奥の手を使うしかにようだ。

今俺の目の前には4人の怖いお兄さんたちがいる。

幼い頃に反則的に早かったお姉ちゃんとの鬼ごっこの時に身につけたこの奥の手。

パチン!

必殺猫騙し。

お兄さんたちの顔の近くで思いっきり両手を合わせて手を叩いた。

お兄さんたちが目をつぶったその瞬間に俺は、猛ダッシュで逃げた。

「待テヤ」

追っかけてきた。怖いー。


「はぁ。はぁ。はぁ。振り切った」

なんとか振り切ることに成功した。

「あっ。番長さすがです。無傷で全員倒したんですか?」

夏穂と合流した。

「夏穂も無事で良かった」

そう言うと夏穂がモジモジしながら、

「あの…番長…好きです。付き合って欲しいです」

…うぇえーー。

なんの冗談を、と思ったが夏穂は頬を赤くして言っている。

「…騙したというかそっちの勘違いなんだけど、俺は番長なんかじゃないよ」

俺は夏穂に何故、番長と呼べれていたのか説明した。

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