第29話 ハワイで迷子③

「ソコ可愛子オイテ、ドッカに行キナ」

まずい。完全にまずい。だが、ここで逃げ出すことなどできない。なら、することはひとつ。

「お、俺を誰だと思って口を聞いているんだ」

「ダレナンダ」

「この方は警察署に何も持たずに殴り込み行ったすごく強い人なんですよ」

夏穂、俺そんなことしてないから。ちょっと強いくらいの事を言おうと思ったのに。そんなの誰が信じ…

「ナ、ナンダト」

信じたー!

「フ、デモショセンは、子供。お前ラ、来イ」

怖い人が3人増えて、4人になった。

「番長、こいつら早くやっちゃってくださいよ」

「…夏穂。先に行ってくれないか、俺が時間を…」

「わかりました。私がいたら戦いの邪魔なんですね。先に行きます」

違うんだ、夏穂。俺は時間を稼ぐからその間に逃げてくれ、と言おうとしたんだ。だが、夏穂は先に走り去ったから良しとしよう。

「女を先ニ逃ストハ、イイ度胸しテルジャナイカ」

あとは、この怖いお兄さん方から逃げるだけだ。

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