第26話 夏休み③

「…嫌です」

「そんなこと言わないで、美希ちゃん。お仕事だもん」

また、このマネージャーは、勝手な仕事を受けてきた。

「外国に行くのは、嫌だって言ったのに…」

「番組に招待されたのよ。嫌なの?ハワイよ。みんなの憧れ、ハ・ワ・イなのよ」

私は、全然憧れてないし。

「本当に嫌なんですけど」

「お母さんには、許可をもらったんだけど…」

「それでも、嫌なものは、嫌なんです」

ここまで、嫌と言ったら、さすがに諦めてくれる…

「わかったわ。お友達を何人か連れて来ていいから。美希ちゃん、お願い」

…友達…優希と旅行…。

私がそんなことを考えているのを見透かしたようにマネージャーが言う。

「もし、気になっている、男の子がいるなら、誘えばチャンスよ。砂浜。青い海。燃える太陽。告白してもらえるかもよ」

「…マネージャーがそんなの進めていいんですか?」

「いいの、いいの。美希ちゃんは、アイドルをやっているわけじゃないでしょ。恋愛経験は、大切だから」

「…何人まで、誘っていいですか?」

「そんなに狙ってるの?!」

「違います!何も、狙ってません。友達を誘うんです」

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