第20話 外の世界は素晴らしい⑥

今日は、俺一人で霧街さんのところに来た。

「霧街さん。大変だったらしいね」

「……」

霧街さんは、黙ったままだった。

「…まだ、薬飲んでないの?」

俺がそう聞くと霧街さんは、少し驚き、

「…なんで知ってるの?」

「……」

しまった。

霧街さんに、自分があの時、霧街さんを助けた、ライオン男だということを言っていなかった。そして、その時に霧街さんのお父さんと連絡先を聞いて、後日、娘が薬を飲むように説得してほしいと言われたのだ。

「…ねぇ。なんで知ってるの?」

「……」

今度を俺の方が、黙ってしまっている。

「…もしかして、父さんに何か言われた?」

あたりです。

「…それだったら、私のことなんてほっといて」

「それは、できない」

ここまできたら、俺も覚悟を決めて話すことにした。

「たしかに、霧街さんのお父さんに娘が薬を飲むように言ってほしいといわれたよ」

「…なら、もう、…ほっといてよ…」

「だ~か~ら、それは、できないって」

そんな、言い合いの中、霧街さんは、布団に包まり、ウンともスンともいわなくなってしまった。

だが、あいにく俺は、頑張り屋だ。

薬を絶対に飲ませてみせる。

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