第20話 外の世界は素晴らしい⑤

目を覚ますと父がいた。

私は、車に乗っていて、車の周りには、沢山の警察がいた。

「そばにいられなくて、すまなかった」

父に謝られた。

「お前の薬を作るには外国で研究するほかなかったんだ」

父は言う。だが、私は、そんなことが聞きたかったんじゃない。

「…また、私を置いていくの?」

「……」

父は黙ってしまった。

少しの間の後、やっと父は口を開いた。

「本当は私だって、娘と一緒にいたい。だが、お前の幸せの…」

「私の幸せを思って研究して、…その成果で、お金を儲けて…母さんが死んだ時だって…」

「……」

それから父とは、何も話さなかった。


次の日の夜

部屋に荷物が届けられた。

父からだ。

荷物には手紙が入っていて、手紙には、

【お前の為に作った薬だ。飲んでくれ。今まですまなかった。お前に外の世界を見て欲しかったんだ。】

それから、父と連絡がつかなくなった。

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