第14話 本当は

「ってことがあってさー」

学校も終わり放課後、家に来た相馬に今日の朝の出来事を愚痴っていた。

「大変だったですね。アニキ。でも、そんなことなら別に不良なんて助けなくていいんじゃないですか?」

確かにその通りだ。ただ、

「錦城君と話をして、錦城君は小さい頃にお父さんを亡くして、母と妹の三人で暮らし、お金もそんなになかったらしい。だから高校を諦めてアルバイトで生活を助けながら不良をやってたんだって」

「めっちゃいい人じゃないですか?不良になる必要ありました?」

「なんか、高校行かないなら不良になってみたいと思ってなったらしい。それで俺の家も父親がいなかった訳ではないんだけど海外に単身赴任で滅多に帰って来なかったんだ。だから、父親がいなかったらどれだけ大変か分かってるからちょっとだけでも協力しようと思ったんだ」

「だから、普通に賢いのは高校卒業したら、にしたんですね」

鋭いな相馬。

「あぁ、そうだ。案という方法は思いつかなかったけど、本当は別の方法で生徒会の誰かに頼んでなんとかしようと思ったんだけどな」

プルル、プルル

電話がかかってきた。光からだ。

光は生徒会ではない。だから、生徒会の誰かに案の立候補を推薦してもらわないといけない。そのために電話がかかってきた。

「俺、生徒会じゃないだけど」

「そこに、あんたの舎弟いないの?あいつ生徒会入ってるんだ」

相馬は生徒会の一人だった。

「光の立候補の推薦をやってあげてはくれないか?」

相馬は悩んだ後、

「アニキのライバルを助けるのは嫌ですけど、アニキの頼みなら仕方ないです。推薦とその他の立候補者への準備の手伝いをしてきます」

そう言って、相馬は俺の家を出て行った。

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