第13話 古都 『ノワロ』

「すみません。ワインを1本追加で、それとオードブルも5種類ほどお願いします。」


 『ロドリーサの幻夜蝶』を存分に堪能した僕は今、部屋でマイジュさんとエイルさんの晩酌に付き合っています。

 アイザもさっきまで居たのだけど、眠そうだったので部屋に運んで寝かしつけました。

 部屋専属の執事さんに追加注文を済ませた僕は、リビングから冷たい水を持ってきて席に戻る。


「僕はこれ以上飲むと、気持ち悪くなりそうなので冷水で付き合います。」

「まあ、仕方が無いわね。許してあげる。」

 エイルさん、目が半分据わってます。

「で、アイザさんとは、どういう関係なのよ! 本当は付き合ってるんじゃないの!」

 絡んで来ました…


「いや、本当に護衛役として一緒にいるだけですって。まあ、アイザが家族だと言って、慕ってくれてるのは確かだし、僕も妹みたいに思ってるから、そう見えますが、付き合っては無いです。」


「ほんとぉうにぃ~?」 

 執事さんがオードブルを持って来たので、静かになって食べ始めたエイルさんは、グラスのワインを飲み干して『注げ!』と、いう感じに突き出した。

 僕はグラスにワインを注ぎながらマイジュさんに助けを求める。


「まあ腕枕はどうかと思いますけど、愛情表現として見るのか、家族のスキンシップとして見るのかで違いますね。ですが…あれは腕枕ではなく、抱き寄せですけどね。」

「でしょ! ハルトから抱き寄せてたわよね。」

 マイジュさんに助けを求めたら、二人からの追い討ちになりました…


「いや、腕枕って初めてだったから、腕が痛かったのですよ。だから痛くない肩にして貰っただけですから! マイジュさんもエイルさんも腕枕の経験って無いのですか?」

「あるわけないでしょ!」

「私もありませんよ。」


「じゃあ、試しに腕枕してみてくださいよ。痛くて、我慢しようものなら絶対、痺れますから!」

 と、自分でも何を言っているのか判らない発言で、エイルさんの火に油を注いだようで、

「判ったわ! ちょっとリビングに来なさい。」


 え? 僕が行くの?

 あれ? この流れで言ったら…マイジュさんがエイルさんを腕枕するのでは?


「いや、僕がエイルさんを腕枕するのは違うのでは?」

 目が据わっているエイルさんの口から出た言葉は、僕の予想の軽く超えていました。


「何言ってるの。私がハルトを腕枕するのよ!」


 えぇ…

 僕は、救いの目をマイジュさんに向けると、『諦めろ。』と目で返ってきました…


「まあ、まだ晩酌中だし後にしましょうよ。食事中に席を立つのはマナー的にあれですし。」

 僕は、時間を稼いで忘れさせる作戦を思い付きました。


「そうね。まだ飲み足らないし、後で良いわよ。」


 よし! あとは話題を変えて、忘れさせれば完璧だ。

「マイジュさんは明日、デバルドさんの娘さんの結婚披露宴を見に行くのですよね。エイルさんは、僕とアイザと昼を過ぎた頃から神殿を見に行くので、良かったですよね。」

「ええ、お母様も見に行ってたみたいだからね。」


 あの貴族達の団体旅行の一番の理由は、デバルドさんの娘さんの結婚披露宴の招待者で、娘さんの学友達でした。

 なにかと遭遇する貴族の男性は、婿入りする新郎の友人だそうです。

 

 デバルドさんが、その話を僕達にした本当の理由は、 イデリアス・サイズン伯爵に、是非、孫の祝いの席に来て欲しいとの誘いでした。

 だけど、面識ない僕が顔を出すのは場違いなので断りました。

 でも、マイジュさんはデバルドさんに世話になった事もあるので結婚式だけ見に行くことになったのです。


 そもそも、こっちの結婚式って僕の思ってるのと違うかも知れないし、失礼な行動をしてしまう可能性もあるわけで…

 怖くて行けません。


「そういえば、マイジュさんとエイルさんは、どんな人と結婚したいのですか?」

 二人とも、ワインを溢しそうなほど、うろたえてました。

「なぜ、その話になるのですか?」


 あの貴族の男で思い出した事でした。

「ロドリーサの所で揉めてた女性が、自分を幸せにする人を選んでたみたいじゃないですか? あれって、金銭的に裕福な生活を選んだって事なのかなって。で、あの貴族は、好きな女性よりも、好いてくれる女性を大切にするような事を言っていたような気がして。」


「なるほど。そうですね…」

 マイジュさんはワインを一口飲んで、考え込んでいた。

「私は、背中を預けられる相手が良いですね。」


 どこの主人公ですか! まさか、そんなセリフを聞けるとは!


「エイルさんは?」

 僕は真面目に答えたマイジュさんにカッコいい主人公像を感じつつ、エイルさんに移した。


「そうね…裕福な生活も大事だと思うけど、やっぱり好きになった人を幸せにしたいかな。もちろん相手も、同じくらい私を幸せにする努力をしてくれる人ね。」


 やっぱり、それだよねぇ~

 お互いが好きになって、一緒に幸せを作っていく。

 それが結婚の理想だよね。


「僕も、エイルさんと同じですね。」

「それって、私のは駄目って事ですか?」


 あっ、今度はマイジュさんが絡んできた…

 これ、両方立てないと駄目なやつだったぁあー


「いえ、マイジュさんのも憧れますけど、実際に同等の力を持った異性ってそんなにいないじゃないですか。…ん? あれ? エイルさんみたいな人でいいのか。」


 ようは、パーティー組んで信頼出来る相手って事だし、傭兵業界なら結構いるのかも。


「みたいって何よ!」

 エイルさんが僕を睨んでいます。


 またやってしまったぁー!

 これは話題を間違えた僕のミスです。はい…


「言葉を間違えました、すみません。エイルさんのように魔法士としても信頼出来る人なら、結婚相手として申し分ないって事です。」

「えっ…そう? そうよね。私だったら、ハルトの背中くらい守れるからね。」


 機嫌が直ったエイルさんに、僕はワインを注ぎなおす。


「もう、そろそろ寝る時間なので、お開きにしましょうか。」


 調理室にいる料理人と執事さんは、僕達の食事が終わるまでは帰れないので、ずっと気になっていたのです。


「そうですね。寝過ごさないようにしないとですからね。」

 マイジュさんの言葉に、エイルさんが納得するかたちで晩酌の時間は終わりました。


 執事さん達が部屋から出て行くのを見届けてから、リビングに戻る僕達。

「じゃ、おやすみなさいです。」

「ハルト、待ちなさい。」


 エイルさんは忘れていなかったようです…




 翌朝、エイルさんは何も無かったように、いつも通りでした。


 リビングで僕を腕枕した時、腕が痛いと言って結局僕を抱き寄せて納得した後、エイルさんはそのまま寝てしまいました。

 マイジュさんが呆れてましたけど、エイルさんを寝室に運んでくれました。


 昨日の事、覚えてないのかな?

 でもアイザが隣にいるし、腕枕の事は聞けないです。

 まあ、普段どおりだし、下手に思い出すよりはいいと僕は判断して、腕枕の事は聞かない事にしました。


 朝食を済ませた僕達はマイジュさんを見送った後、2度寝に戻るアイザと分かれてリビングでエイルさんと過ごす事になりました。


「神殿って古代遺跡なんですよね?」

「ええ。『フォロニア遺跡』って言って数千年前の文明の遺跡らしく、女神アリシュの石像があるらしいわよ。」


 エイルさんの話では、水の女神アリシュが祭られている神殿で、水の神星魔法に関する伝承があるらしく、今も研究されているということです。


「はっきり言うわね。アイザさんが神星魔法を使っている事って、とんでもない事なのよ。」

「そうなのですか?」

「ハルトは異世界人だから知らないけど、神星魔法って誰も使えないの。その存在は知られているけど、ファルザ公国の魔法学院ですら、お手上げ状態なの。」


 僕はアイザの魔法の凄さと、希少どころじゃない魔法だったことに驚く。


「もし、アイザさんの存在が世界に知れ渡ると、彼女を拉致しようとする人は必ずいるわよ。だからハルト、ちゃんと守りなさいよ。」


 僕は今まで以上の警戒心と、アイザの魔法に頼らない覚悟を胸に、「はい。」とエイルさんに答えました。




 アイザとエイルさんと3人で、白馬車に乗って『フォロニア遺跡』にやってきました。

 見た目はギリシャの神殿のように、白い石で出来た大きな建物でした。

 その建物の中に入ると、神殿の高さの半分くらいある大きな女神アリシュの石像がありました。


「すごい大きい。これを昔の人は作ったのですか?」

「そうみたいですね。 この街が出来る前からこの神殿と石像はあったみたいですから。」

 エイルさんが、観光客用のパンフレットみたいな紙を見ながら教えてくれています。


「これが、水の女神アリシュ様なのね。」

 アイザが興味を示しているけど、神星魔法に関することを発言しないように釘を刺していたので、それ以上の言葉は無かった。

 どこで誰が聞いているか判らないからね。


「ちょっと、挨拶してくる。」

 アイザが、ゆっくりとした動作で石像に向かって歩き出したので僕は一緒に付いていく。

 そして、正面の位置に着いたら、頭を上げて両手を差し出すように伸ばし、聞いた事のない言葉を小さく唱えている。



「さきほどは、素晴らしい祈りでしたね。その若さで正式な参拝を行えるなんて、感心しました。」

 僕達が神殿から出ようとしたところに、白いローブ姿の神官らしい制服を着た60代くらいの男性が声を掛けてきました。

 僕は、少し警戒心を見せていたようで、

「失礼しました、私はここの神官長を勤めているデネジと申します。」

 僕達は足を止めてお辞儀を返す。


「形だけの作法なら、私の部下達は数日で覚えることは出来ますが、そちらのお嬢さんのように古代語での祈りを正確に言えるまでには数ヶ月はかかります。なので、興味本位という気持ちで声をかけさせてもらいました。」


「私のお母様から教わりました。神に感謝する言葉だから覚えなさいと。」

 アイザの言葉は本当の事みたいで、嘘を言っているようには聞こえなかった。


「そうですか。それは素晴らしいお母様ですね。奇跡を願う為ではなく、ただ感謝を表すために祈りを捧げる。本来、それが善であり。真なのです。」


 素性を聞かれたので、タライアス王国からの旅行者だと伝えると「良き旅になることをでしょう。」と見送られました。


 それにしても、声なんて聞こえないはずなのに、なんで判ったのだろう…



 時刻は14時半を過ぎた頃だったので、マイジュさんがいる大聖堂を覗いてみることにしました。

 時間的には、すでに式は終わっているはずです。

 大聖堂も観光名所として人気があると言っていました。

 この街を建設し始めた頃に建てた聖堂で、役所的な施設も一緒になっていたので、外見は宮殿らしいです。

 今は、結婚式と披露宴の会場。そして観光名所として使われています。


 白馬車が大聖堂付近の街道で停止する。

「なんだろう?」

 僕は馬車の扉を開けて外に出ると、前方の建物の塀から、何か炎のようなものが見えていた。

 まだ距離はあるけど、悲鳴のような声も微かに聞こえる。


「お客様、避難したほうが良さそうです。」

 白馬車の騎手さんが馬をUターンさせる準備を始めていた。


「そうですね。まだ距離はあるけど、僕達はここで降ります。アイザ、エイルさん良いですか?」

 頷く二人が馬車から降りる。

「エイルさん。アイザをお願いします。」

「駄目よ! 私が行くから、ハルトはアイザさんを守りなさい。」

 走り出そうとした僕の腕を、エイルさんが掴んでいた。

「誰かが戦っているようだし、ハルトが前に出る必要ないでしょ。私が見てくるから。」


 エイルさんの言うとおりだった。

 たぶん、あの塀で囲まれた中が大聖堂なのだろう。そこから何かが外に出ることはなく、中で暴れているようだった。


「はい。エイルさん気をつけてください。僕とアイザは後から行きます。」

「任せて!」

 エイルさんの疾走する姿を見送った僕はアイザと並んで歩く事にした。


「ほんと、ハルトは首を突っ込むのに躊躇しないわよね。」

「うん。ごめん」

 否定できない自分に反省しました。


 塀の中は大聖堂に続く広場になっていて、僕とアイザが到着する頃には静かになっていました。



 エイルさんが僕達に気付いて手を振っています。

 隣にはマイジュさんがいて、デバルドさんとイザルさんも居ます。

 他にも強そうな兵士達が沢山いたので、エイルさんの言うとおりだった。


「やあ、ハルト君。久しぶりですね。」

 イザルさんはデバルドさんの相方で筋肉隆々なのだけど、美形の顔と紳士的な振る舞いで、良いお兄さん的な雰囲気なのです。

「お久しぶりです。それで、何があったのですか?」

「ああ、一人の人間が、魔物化? したようなのです。」

 

 イザルさんが示した方をみると、地面に倒れている人型の魔物がいた。

「死んでいるのですか?」

「はい。魔族まがい? よく判らないですが、変貌して自制が出来なくなって襲ってきたので、デバルドさんが倒しました。」 


 デバルドさんが不服そうな顔で、

「ほんと判らない事だらけだ。元人間だったあれは、招待者の元恋人だとか言っていたな。なんでも、この力で魔王を倒して見せる。とかなんとか言ってたらしい。」


 倒されてますが…


「マイジュさん、元人間って昨晩の人でしたか?」

「はい。顔までは覚えていませんが、背格好からそうだと思います。」

「その人って、魔族まがいになる前に何かしてました?」

「何か飲んでましたね。小瓶の中身は何か判らないですが、たぶんそれでしょう。みなさんも同じ見解で、少量残った液体を調べると言っていました。」


 勇者になる為の薬と同じような物なのかな? いや、同じ可能性もあるってことか…

 でも、あれは一年に1本しか作れない物って言っていたし、タライアスの秘薬的な事も言ってたから違うか…


「ハルト! ねぇ、ハルト!」

 考え事に集中していた僕は、アイザの揺れ動かす振動と声で意識を戻した。

「あっ、ごめん。観光の続きに戻ろうか。」


 今、考える事じゃないし、事件は終わってるんだしな。



 僕は騒然としてはいないけど、後処理で観光出来そうな雰囲気がない大聖堂を見渡す。

「と、言っても教会の見学とかって今出来るのかな?」


「それなら、わしに案内させてくれないか?」

 よく見たら、いつの間にか70歳くらいの知らない男性が目の前にいた。

 赤毛の髪には白髪がだいぶ混じっているけど、精悍な顔立ちと、凛とした姿勢で歳を感じさせない威厳が溢れています。

「イデリアス・サイズンだ。君達には色々を世話になった、感謝している。」


 あぁ~そりゃそうか、デバルドさんにマイジュさんがまだ居るってことは結婚式の途中だ。


「ハルト・カワノハラです。えっと…目の前で起きた事に頑張ってただけです。あっ、宿の予約ありがとうございました。僕らもいい旅行になっています。」


「ハルトさん。緊張しすぎでは? 会話が変になってますよ。」

 マイジュさんにツッコミを入れて貰った僕は、自然に言い訳を口に出せる。

「まだ、慣れませんよ。凄く上の人から、感謝された事ないですから、どう受けていいのか判らないのですし、そりゃ結果的に凄い事したのは判りますけど、僕的には、感謝の量が多すぎて逆に遠慮してしまったりで、処理しきれないのですよ。」


「聞いていた通りだな。あと1年、いや半年あれば孫の婿になってたかもしれないな。実に惜しい

事をした。」


 伯爵様が、なんかおかしな事を言っていますが!?


「え? あっ。結婚おめでとうございます。そういえば式の途中だったのではないですか?」

「大丈夫だ。式は終わって、披露宴が終わる頃だったから招待者達と孫は奥の部屋に避難させた。今は茶会の準備を進めている。このまま帰す訳にはいかないからな。」


 祝いの日を仕切り直すって事なのだろう。さすがです。


「しかし、デバルド。本当に残念だな。あいつなら絶対、一目惚れだったろうに。」

「同感です。」

 デバルドさんが、少し笑っています。


 いやいや、どうしてそういう話になるのですか?

 娘さんの結婚した日に、何言ってるのですか?



 魔物? の処理で、観光客が僕達以外誰も居ない大聖堂を、伯爵様とデバルドさんに案内されながら見学しています。


 正直、落ち着かないです。


 沢山の窓は全てステンドグラスで、色鮮やかに光っている礼拝堂。

 天井には、遺跡でみた女神アリシュの絵が書かれていました。

 リビエート王国の三大聖堂の一つで、女神アリシュは生命の神としても崇められているとの事です。


 礼拝堂の次は、同じ宮殿内にある舞踏会場と、オペラなどの演劇などを観る劇場を回り、最後に模様のような水路と、木と花で造られた庭園に出ました。


「ここは、お茶を楽しむテラスになっている。なので席に座って寛いでくれ。お茶を準備させるからな。」

 伯爵の勧めで、僕達は庭園の少し端の、静かな場所に座った。

 というのも、広い庭園には、数百人は座れそうなテーブル席が扇状に並んでいるけど、デバルドさんの娘さん達がお茶の最中だったからです。


「って、デバルドさんは娘さん達の所に行かなくて良いのですか?」

 僕達が選んだ4人用の席の隣に、デバルドさんが座りました。

「ああ、今はもう、友人達との雑談だしな。親が出る場じゃない。それに、娘がハルト君を見に来るかも知れないからな。」


 ん~ずっと気になってるのだけど、娘さんってどういう人なのだろう…


「そう、怪訝そうな顔をするな。うちの家系というか、親父の性格なのだろうな。『戦王』と呼ばれた武人で、強いやつに興味があるのだが、俺の妻となった娘のリープラもその性格から、俺との結婚に至った訳なんだ。そして、孫のパナティアもそんな性格でな、結婚相手も学院一の剣術使いだから、惚れたらしい。」


「そうなんですか。納得しました。…でも、それならマイジュさんってどうだったんですか?」


 強さ・見た目・性格。非のない理想的な人になりそうだけど。

 デバルドさんなら、絶対紹介していそうだし、断ったのかな?


「あぁ…マイジュは色々と問題があってだな。逢わせても無かった。」


 ん? 問題ってなんだろ…


「まあ、私は自分の事で精一杯でしたからね。それに、当時は人に構っていられる余裕が無かったですからね。」



 伯爵様がメイドさん数人とドレス姿の婦人を連れて戻ってきました。

「初めまして。デバルド・サイズンの妻のリープラです。」

 艶のある綺麗な赤毛の女性でした。


「ハルト・カワノハラです。娘さんのご結婚、おめでとうございます。」

 伯爵とこっちに来てる時点で、そんな気はしてました。


「ありがとう。でもほんと、残念ね・・・あなたが言ってた以上の可愛らしさじゃない。」


 デバルドさん? 何を言ったのでですか!

 僕の視線に咳払い一つと、苦笑いで誤魔化したデバルドさんでした。


「特産のイチゴを使ったケーキです。是非食べてみて下さい。」

 立ち話になりそうだったけど、リープラさんの発言でメイドさん達がティータイムの準備を始めました。

「苺ってこっちの世界にもあったのですか?」

 僕は席に座って、目の前にある、苺が一杯載ったホールケーキに感動していた。


 15年ほど前に来た勇者が苺を持っていて、栽培方法と料理方法を伝えたとの事でした。

 で、その栽培地に選んだのが『ノワロ』だったそうです。


 その話を聞いて更に感動です。

 僕が仮に苺を持っていたとしても、そんな発想出来なっただろうし、絶対に食べて終わりです。


 物流が馬車のみなので当然、アイザにエイルさん、それにマイジュさんも初めてで、苺の美味しさに感動しています。

 もちろん僕も、生クリームたっぷりのイチゴのケーキの美味しさと懐かしさに感無量でした。


 まさかの、2ホール目を注文するほどです。


「お父様、お母様。それにお爺様。いつになったら紹介してくれるのですか?」

 ケーキに夢中になっていたら、娘さんがやってきました。


 少しオレンジよりの赤いストレートロングの髪が印象的な女性が、デバルドさん達が座っているテーブルから僕を見ています。


「今日は、婿だけを見るべきだろ。」

「そうよ、パナティア。ホネットさんが嫉妬しますわよ。」

 デバルドさんと奥さんが娘さんを嗜めてますが、引き下がったりはしませんでした。


「夫になったのだから、私の愛は変わらないのだし、嫉妬するほど器が小さい彼じゃないですよ。それに、私を束縛させたりはさせませんから。」


 怖いです。


「ハルト、なんて顔してるのよ。」

 エイルさんが笑いそうになっていました。

「え? いや…なんでもないですから。」

 ちょっと身震いをしてしまった。

 男としての心情からなので、他意は無いです。


 この世界の結婚って、女性主導なのは聞いてたけど、やっぱり生活もそうなのかな。

 リビエート王様のところも、そうだったし。


「なんてことなの! 貴方がハルトさん。いえ、ハルト様と呼ばないと駄目かしら。」

 両親を振り払ったパナティアさんが僕を見つけての第一声でした。


 もう、どう答えて良いのか判りません。


 僕がオドオドしていたのを見かねたのか、アイザが言葉を挟んでくれた。

「そうね。ハルト様でお願いします。」


 ちょ! え? 何言ってるの?

 アイザの顔は真面目そのもので、マイジュさんとエイルさんは…どう見ても、笑いを堪えてます。


「いや、『様』はさすがに恥ずかしいです。普通に呼んでください。」

「ハルトは尊敬される事をしているのだから、素直に受け取ればいいのに。まあ、それがハルトの良いところなのだけどね。」


 アイザの、なぜか嬉しそうな笑顔に、僕は照れ笑いを返していた。


 それから僕達と隣接するテーブルに座って、少しの雑談を交えてから、話は僕の強さの信憑性になりました。

 疑問を投げ掛けたのはパナティアさん。

 僕の見た目と、『残虐の魔道師ミルジア』の討伐者はマイジュさんになっているし、先日のオルザさんとの戦いは魔法士の不意打ち魔法で倒されてたからね。


 それなりに強い事は、信じてくれてますがデバルドさんが認めるほどなのかと。


「私の夫より強いのですか? もしよろしければ、試合をお願いできませんか?」


 そんな挑発に僕は乗りません!

 別に信じて貰わなくても良いのです。

 そんな、面倒なフラグは断固拒否します。


 本気を出して勝ってしまったら旦那さんの立場なくなるし、手加減したら認めてくれているデバルドさんを裏切るような事になるし、僕に何もメリットがないのだから!

 

「いえ、お断りさせて下さい。 僕は旅行中ですし、試合でどちらかが怪我でもしたらとか、ありますから。」


「そうですか、それもそうですね。ハルトさんに怪我をさせてしまうと、大変ですね。」

「ええ、そうですね。アイザを護衛する事が出来なくなりますから。」


 まあ、ここまで挑発に乗らない男なら、興味も無くすだろう。


「やっぱり、同年代の中なら、ホネットが一番ってことよね。」

 まだ、挑発を諦めてないようです…


「僕と同じ18歳なのですか?」

「はい。」

「お早い結婚だったのですね。 こちらの世界って、この歳に結婚って普通なのですか?」

「そうね。いい男は、一番に取らないと駄目でしょ。」


 多妻一夫制の考えだとそうなるのかぁ~納得です。


「そうなんですね。じゃあ、僕達はそろそろ行きますね。」

「え? まだお話が終わってませけど。」


 さすがに無理でした。

 僕を哀れむように見る、マイジュさんとエイルさんの視線が痛いです。


「デバルドさんは、ハルトと、その人の旦那さんと、どっちが強いと思ってるの?」

 アイザが爆弾を投下しました。

 その質問は駄目なやつです…


「ん? そうだな、剣術に関してはホネットだが、身体能力でハルト君の圧勝だろう。」


 アイザがご機嫌な笑みを浮かべています。

 アイザが喜んでくれるのは嬉しいけど…今はそうじゃないと思います。


「お父様! ホネットは騎士団の中でも上位の実力だと仰ってたじゃないですか。それを圧勝だなんて、信じませんわ。」

 ほら…こうなりました。


「デバルドさん、わざと言いましたよね。」

 デバルドさんの笑い声が返ってきました。


「ハルトはどうして、頑なに断るの?」

 エイルさんの質問にアイザも頷いています。


「いやほら、僕の力って異世界人特有の反則みたいなものだから、比べるものじゃないと思うのですよね。それにあれですよ、結婚したばかりの人を倒すのって気が引けるじゃないですか。」


「ハルトさんそれ、『まったく相手にならないから戦う意味が無い』と言っているのと同じですよ。」

 マイジュさんのツッコミに僕は「あっ!」と、声を上げていた。


 ここまで、傍観者だった伯爵の、大きな笑い声がテラスに響きました。

「さすが、デバルドが認めた男だ。もう、パナティアも判っただろう。」

「はい。お父様が言っていた通りの人でした。」


 僕は理解出来ない状況に、唖然となる。

 そして、そんな僕に伯爵様が事の経緯を教えてくれました。


 僕の話をデバルドさんがした時から、パナティアさんが婚約者と試合をしたいと頼んでいた。

 だけど、僕の性格を知っていたデバルドさんが、受けないから無理だとずっと言っていたとのことでした。

 で、実際に街に来たから直接確かめるって話だったみたいです。


 でも、それだけで、ここまで笑われるのはなんでなのだろう?

 どうも腑に落ちないです。


「ええ、判りましたわ。では、お父様と試合をしてみて下さい。お父様でしたら、ハルトさんに負けないですよね。」

「ああ、負けはしないだろうな。だが、ハルト君はどうする?」

「そうですね。2刀流の斧を試したいとは思ってましたし、デバルドさんなら良し悪しを見てくれると思うので、僕からお願いしたいくらいです。」

 デバルドさんに、僕は席に座ったまま、頭を下げた。


「ああ、できる限りの事はしよう!」

 パナティアさんの含み笑いが目に入り、僕はこの時、誘導されたことに気付いたのでした。



 翌日に、この街にある騎士団施設で試合をすることになりました。

 そして部屋に戻って僕は、パナティアさんの策略に嵌ったのかと、マイジュさんに尋ねてみました。


「たぶん、最初から目的はそれだったようですね。しかも、パナティアさんだけじゃなく、イデリアス伯爵の思惑が最初かも知れないですよ。」

「え? どういうことですか?」


 マイジュさんが少し困った顔をしてます。

「イデリアス伯爵がハルトさんの実力を見たいって、話からだと思いますよ。 なので、孫婿との試合を仮に受けたとしても、そのあとでデバルドさんとの試合をさせるつもりだったのでしょう。ハルトさんの性格なら、デバルドさんからの誘いは断らないと見込んでいたのでしょう。まあ、私はそんな気はしていました。」


 たぶん、マイジュさんも同じような事があったのかも知れない…


「ハルト、お風呂入るわよ。」

 アイザに促された僕は、話を切り上げてアイザの後を追って部屋に入る。


「今日は、一緒に入るから後で来てよね。」

「ん? 判った。10分後くらいでいい?」

 「うん。」と返事をしたアイザが、バスルームに入って行く。


 まあ、ここの浴槽が二人入っても余裕あるほど大きい浴槽だったけど…

 判らない! まったく判らない…

 拒否するのは間違いだと判っている。家族としての常識なのだと判っている。

 だから僕は、多少の疑問はあるけど断らないのです。


 二人分の着替えの準備を済ませた僕が浴室に入ると、嬉しそうに湯船で待っていたアイザがいました。

「おまたせ、アイザ。」

「今日は私が背中を洗ってあげる。」


 そういや試合をする話辺りから、ずっと嬉しそうにしてたかも。


「ありがとう。じゃお願いします。」

 背中を洗っているアイザから、微かに鼻歌が聞こえてきます。

 

 これは明日は、ちょっと頑張らないとだなぁ~

 僕はなんとなく、そう思ったのでした。

 


 リビエート王国の西の国境を守る街『カロライ』はここから2時間ほどの場所にある。

 なので、『戦王』が滞在するこの地は兵士育成の拠点として、充実した施設と騎士団がありました。

 ってことで、僕とデバルトさんの試合は大勢の兵士達が見守る闘技場で行われています。


 ここまで、大事になるとは予想していません。

 

「完全に見世物になってますよ、デバルドさん。」

「まあ、それについてはすまない。親父がハルト君の事を、ここの騎士達に話していたからな。当の親父も特等席で見ているしな。」


 伯爵様は、僕とデバルドさんのすぐ隣で、試合の審判役をしています。

「こんな面白い事を観覧席で見るのは勿体無いだろう。」


 アイザ達やパナティアさん達は普通に観覧席から見ています。


「それでは、ルールを確認するぞ。」

 伯爵の言葉に僕は、「お願いします。」と返事をする。


「一撃でも、武器が体に当たった時点で終了とする。尚、頭と胴体への攻撃は禁止だ。手か足の四肢だけとする。」


 腕や足なら、騎士団にいる治癒魔法士がすぐに直してくれるとの事で、さすがに致命傷になる可能性がある頭と胴体は危ないから禁止って事です。


 まあ、普通に考えたら僕の全力の攻撃や、デバルドさんの攻撃を一般の人が受けたら、足や腕に攻撃したとしても致命傷なのだけど、傭兵ランク『A』の実力には、身体強化が必須事項になっているのです。


 以前、僕の防御力についてマイジュさんとエイルさんとで話した時でした。

 岩を砕くほどの素手の殴りで、僕の手が潰れなことに疑問を持っていたので、エイルさんやマイジュさんはどうなのかと聞きました。

 その答えは、エイルさんは魔法での身体強化(魔法士としての話)で、マイジュさんは魔気で身体強化をしていると教えてくれました。

 で、その時にエイルさんが驚きと興味津々で話が脱線してしまい、僕の話に戻るのに少し時間がかかったのだけどね。


 僕のは、発動条件や状態から、マイジュさんの魔気と同じようなものだと結論付けはしたけど、似て非なるものってことを付け加えてました。


 魔気を感じる事が出来なったからね。


 マイジュさんは体の中にある魔気を気のように張り巡らせる事で、身体強化を得ると言っていました。だけど僕はそんな感覚もないし、そんな風にしなくても同じように強化出来るからです。


 マイジュさんも僕も、もちろんエイルさんも、針で皮膚を突けば血が出ます。もちろん痛いです。

 で、マイジュさんは魔気を使うと、針は刺さらず、針の方が折れました。

 

 じゃあ僕はというと、気合を入れたりとか、緊張したりとか、力を込めた時とか、恐怖を感じた時とか、検証の結果、アドレナリン的な気持ちが昂ぶっている時ほど、防御力が高くなることが判りました。

 まあ、そうじゃないと、身体能力が上がった筋力に、体が耐えられないからね。

 異世界人の基本特性ってことなのだろう。

 ちなみに、コソコソと話をした結果、エイルさんも僕と同じ体質だったので、遺伝するみたいです。


 そして、こっちの世界の身体強化と違う点がひとつ。

 物理耐性と筋力アップは同じなのだけど、その上限が段違いな事と、僕のように人の運動能力を超えた動きは出来ないということです。

 もの凄く早く走ったりとか、高く飛んだりとか。


 ということで、僕は防具が無くても、デバルドさんの攻撃を最悪、骨折程度に済ませる事が出来て、全身鎧装備のデバルドさんも僕の攻撃を受けても、骨折程度で済みそうなのです。



「では、構え!」

 伯爵の合図で、僕とデバルドさんは互いの距離を取る為に少し離れる。

 僕は2本の斧を『インベントリ』から取り出し構えると、白銀に光る斧に観客者達から、どよめきのような声が聞こえました。


 対するデバルドさんは、いつもの黄褐色の鎧に銀色の片手剣と長方形型の小型の盾を構えています。


「始め!」

 先手必勝! 僕は合図と同時に踏み込み、一瞬で斧が届く距離まで詰める。

 そして、攻撃すると見せかけて、左に回りこむ。

 僕に追尾するように体を捻り、盾を突き出すデバルドさんの盾を左の斧で叩き、右の斧で盾を握っている腕を狙いにいった。

 だけど、右の斧は、初撃の衝撃に耐えた盾をずらして受け止められる。

 刹那。

 デバルドさんの剣の突きが僕の肩を狙ってきたので、それを左の斧で受け止める。

 そこから始まったデバルドさんの連撃を僕は2本の斧で受け止めながら、返す剣に合わせて斧で攻撃を試みるが、盾がそれをことごとく遮る。



 僕は一度距離を取って、仕切り直すことにしようと後方に跳躍したけど、デバルドさんの突進のような追撃に、一呼吸ほどの時間しか取れなかった。


「なら、これはどうですか!」

 僕は緊張感と集中力を1段階上げてオルザさんの連撃を繰り出した。


 体を捻りながら左右の斧を回すように高速で撃ち振るい、デバルドさんを盾ごと押し戻す。

 そして、前に残った太ももを狙い斧を振りぬく。

 が、その攻撃を剣の刀身で阻まれる。

 僕は横にステップし、背後から横からと、攻撃を試みるが剣と盾で全て受け止められていた。

 でも、デバルドさんからの反撃が殆ど無い。

 もう少し速度を上げれば勝てると判断した僕は、深く呼吸を吸い込み、意識をさらに集中して、連撃を加速させる。


 僕が今出来る最高速度の動きだった。

 息を止め、肉体を最速で動かす為だけに全神経を使える時間は、7か8秒程度しか続かない。


 相手を翻弄するように体を振り、加速した僕の動きにデバルドさんの盾が間に合わなくなる。

 そして、僕はデバルドさんの盾を斧で撃ち飛ばした。


「そこまで!」

  伯爵の言葉で、僕とデバルドさんは動きを止めると、ずっと静かだった観覧席から拍手が沸きあがった。


「二刀流の斧はどうでしたか?」

「ああ、まったく問題なかった。いい動きになっていたぞ。」

「オルザさんの動きを真似てみました。」

「なるほどな。接近戦の連撃はあいつの得意技だったからな。なら、あとはハルト君らしい、立ち回りでの技を考えてみるといい。」


「ありがとうございました。」

 僕はデバルドさんに一礼をして、デバルドさんから差し出された手を握る。



 アイザ達と合流した僕は、デバルドさんに案内された騎士団の応接室に入った。

 応接室には、伯爵家の人達がすでに待っていて、テーブルには色々なお菓子が並べてありました。もちろん、イチゴのケーキもあります。


「今日は、素晴らしい試合を見れて嬉しいです。これは感謝と、少しの雑談に華を添えるようにと準備しましたので、遠慮せずにお召し上がりください。」

 デバルドさんの妻のリープラさんの言葉に、僕達は席に着く。

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、頂きます。」

 僕は出されたお茶に口をつけて、目の前に並んでいたクッキーをひとつ食べる。

 

「まさか、お父様に勝つなんて凄いですね。」

 パナティアさんが向かい席に座って、僕に熱い視線を向けています。

 隣の旦那さんをほったらかしですが…


「ハルトさん、直接話すのは初めてですね。パナティアの夫のホネットです。先ほどの試合は大変勉強になりました。」


「手数で押し切っただけなので、純粋な武術で勝ったとは言えないですけどね。」

 パナティアさんとホネットさんからの褒め言葉に、僕は謙遜ではなく本当に思っていた事を伝えた。


「それでも、強いことには変わりないです。」

 パナティアさんの言葉に「当然です。」とアイザがお菓子を食べながら答えている。


 すごく嬉しそうにしています。


「ハルト君は、本当の強さとは何か、判るかな?」

 伯爵からの質問に、僕は漫画やアニメで定番になっている言葉を使う事にしました。

 僕自身も、そう思っていたからね。


「大切な物を守る為に命をかける勇気。あとは、引く勇気とかかな? 実際、剣術が優れていても、エイルさんの魔法には敵わないと思うし、暗殺とかで、あっけなく倒されたりもするので、物理的な強さは本当の強さじゃないと思います。」

 僕の答えに、伯爵家の皆さんが頷いています。


 良かった。間違ってなかったようです。


「素晴らしい。ゴライズが孫の婚約相手として認めたのも頷ける。だからこそ、うちにもう一人、年頃の娘がいたらと…心底悔やむ。」


 ん? あぁー。先代リビエート国王のことか。

 『戦王』で、同じくらいの歳だから知り合いなのは当然か。


「ハルトの一番は私だから。」

「ああ、そうなのか。それは失礼した。」

 アイザの断固とした言葉に、伯爵が頭を下げています。


 まあ、間違ってはないけど、今言うことなのか?


 美味しそうにお菓子を食べているアイザのご機嫌は良さそうだったので、僕はスルーすることにしました。


 それからパナティアさんとホネットさんが通っていたリビエート学院の話を聞いたり、騎士団の話になったり、伯爵の武勇伝を聞いたりと、1時間くらい雑談していました。


 僕から話を切り上げるとか無理です!


 まあ、アイザはずっとお菓子食べてたから、機嫌良かったし、エイルさんは外の世界の話で興味はあったみたいだし、僕もそれなりに知識が増えたので良かったけどね。

 

 マイジュさんが多少…暇そうにしてました…

 気にはなってたけど、僕に打開策は打てません。無理です。

 「ごめんなさい。」と、心の中で謝罪しました。



 騎士団を出ると、僕とアイザはホテルに戻って、マイジュさんとエイルさんは買い物に行く事になりました。

 エイルさんの買い物にマイジュさんが付き添う話だったので、僕とアイザは部屋で寛ぐことにしたのです。


 買い物デートかな?

 僕はそんな事を考えながら、マイジュさんとエイルさんを見送りました。

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