ギルドにて
ギルドに入るといつもよりも人が多いことにレインが気付き、受付へと向かった。
「なあ、シュヴィ、この騒ぎはどうしたんだ?」
レインからシュヴィと呼ばれた受付の女性はレンを見ると食い気味に話してきた。
「レインさん!大変なんですよ。オルテアってわかります?」
「あぁ、俺が後で行こうとしていたところだけど、何かあったのか?」
「そうなんですよ!オルテアの西2キロ付近にてSランクの魔獣、『バハムート』が出現したそうなんです。すぐにオルテアから『
それは、レインにとって想定外のことだった。バハムートは本来このクレセリア王国内に出現しない魔獣なのである。それもオルテアという大都市近くに現れたとなれば急いで討伐しなければ街への被害も出てくることとなる。しかしバハムートが一種類だけではないことを知っているレインは、今の状況が他の冒険者やギルドの人間が考えているよりもずっとマズいことを悟っていた。
「シュヴィ、今集まっている冒険者の数は?」
「S級が4人、A級が26人の計30人ですが、どうかしましたか?」
「OK、それともう1つ、この依頼達成時に支払われる報酬を教えてくれ」
「それを知ってどうするんですか?」
「それはちゃんと後で説明するからとりあえず教えてくれ!」
レインの剣幕にただならぬものを感じたシュヴィは情報を開示することにした。
「1人あたり200万ゴールド、総額で6000万ゴールドです」
「…わかった。教えてくれてありがとな」
「何をするつもりですか?」
「今回は俺に任せてもらおうと思ったんだ」
レインはそういうとギルド内のテーブルに集まっていた討伐隊のところへ向かった。
ちなみに先程出た通貨単位だが1シルバーが日本円で10円程度、10シルバーで1ゴールドになるため、1ゴールドは約100円分となる。そしてギルドの依頼はSランクの依頼で平均して報酬が10万ゴールド、1000万円ほどが出る。だが今回の依頼は1人あたり200万ゴールド。2億円なのだ。それが30人なので、計60億円分。それを出せるジャンヌはさすが世界4位の魔導士といったところだろうか。
そしてレインはテーブルに着くと討伐隊のリーダー格の男へこう言い放った。
「すまないがこの依頼は降りてくれないか?」
「「「!!?」」」
そこにいた30人の冒険者たちはそのあまりに突拍子もないレインの言葉に固まってしまった。そして少ししてようやく言葉の意味を理解しきったリーダーの男が口を開いた。
「なぜあんたにそんなこと言われなくちゃいけないんだ?俺たちが受けた依頼なんだ。参加するならまだしも降りろなんて言われてはいそうですかとはならんだろ?」
確かにリーダーの男、Sランク冒険者である『神速のエアル』の言うことは正論だった。それでもレインには彼らに諦めてもらわないといけなかったのだ。そこでレインとエアルの議論が始まった。
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