幕間 ~思わせぶりな編集長~
ずいぶんと久しぶりの投稿だった気もする。
まぁコロナが流行ってからというもの、仕事とか生活もかなり変化があった。
リモートワークはなかったけれど、隔日での出勤を余儀なくされた。
仕事がどうにも詰まって忙しく、まともに執筆時間が取れなかった。
加えて無茶なお題。
何を書くか、どうストーリーを組み立てるか、かなり時間もかかった。
それでも久しぶりの執筆は楽しかった。
投稿して懐かしい人や新しい人が読みに来てくれたのは本当にうれしかった。
なんてニヤニヤとコメント欄を見ていると、またもや着信のお知らせが来た。
「ハイ、関川サン。ようやく重い腰を上げたわね」
「こんにちは、バーバラ編集長」
今日もワイングラス片手に妖艶に微笑んでいる。
彼女の膝ではミドリさんが長い尻尾を抱えるようにして眠っている。
彼女がとりあえず元気そうで安心した。
「ところでアレなによ? 第一回目」
「まぁブランク明けでしたし、お題の解釈がどうもよく分からなくて」
「言い訳なら聞きたくないわ。でもまぁ時事ネタを持ってきたのは正解ね、思ったほど悪くなかったわ」
「それはどうも」
「ところで一つ、関川サンの誤解を解いておきたいんだけど」
「誤解? 今回の件、私には誘拐と脅迫としか受け取れませんけど」
「アラ辛辣ね。やっぱり誤解してるみたい。これには理由があるのよ、なにより『バーグ』のためなの」
ちょっと意外な答えが返ってくる。
それにバーグさんのため、というのであれば聞かないわけにはいかない。
「それは一体どういう理由なんですか?」
「……『走る』、よ……」
彼女はたった一言だけそうつぶやいた。
走る?
なにかプログラムを走らせるとか、そういう事だろうか?
またなんかSFっぽい話になってきたような。
「走る、ですか?」
彼女は真っ赤な唇をニッと上げて挑戦的な笑みを浮かべた。
それからワインをグビリと一口。
勤務中だろうに……。
「それが次のお題よ。書き上げたら、続きを聞かせてあげるわ」
そういうなり画面はまた唐突に消えた。
まったくマイペースな人だなぁ……で、また無茶なお題だなぁ。
どうしよう? なにも思いつく気がしないよ……
私はしばらく呆然としていた。
フリーズ画面に入り、世界の絶景をうつしたスリープ画面に切り替わる。
うわぁ、滝がきれいだなぁ、摩天楼ってまさにこんな感じだな、へぇ面白い橋もあるなぁ。
おっと現実から離れてしまっていたようだ。
「そっか……走る……走る、って……次のお題かよっ!」
という経緯のもと、アイデアもそこそこに突っ走って書き上げたのが、『走る北乃君とコモリ君』である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます