番外編 あの後無茶苦茶薬草取ってた時の話
「……しかし薬草採集ってこんなに面倒な依頼だったんだな」
薬草を探しながら思わずそう呟いた。
お目当ての薬草は東の草原で取れる野生の薬草な訳だが、実はその採取にはそれなりに手間がかかる。
広い東の草原のどこにでも生えるが、常にどこにでも生えている訳ではない。つまりは探さないといけない。探し続けなければいけない。目的の量が見つかるまで薬草を。
……そしてそれが中々見つからない訳だ。
「まあクルージさんの場合、結構あっさり見つけられてたって感じですかね?」
「まあ毎度毎度早々と終わってたな、この手の依頼だと」
俺はこの薬草採取という依頼で、面倒だと思う様な状況に陥った事が今日を除けば今まで無かった。
行く行く先で薬草が見つかる見つかる。もはやそれは探しているのではなく探されている様な気がするくらい。とにかく簡単に見つかっていた。
……まあ理由としては運が良かったからだ。
「ちなみにあんまり聞かない方がいいかもしれないけど……お前、今まで大丈夫だった?」
「……まあ朝出発して日がくれるまで見つからなかった時は、流石に泣きたくなりましたね」
「おぅ……」
……それは余程運が悪くないと起きない事のわけで……比較的見つかりやすく簡単な薬草採集でソレって……ほんと、よく今日まで冒険者として生きてこれたな。
「逆にクルージさんは最短でどの位で帰れました?」
「最短……か」
それなら凄い奴がある。
「一回納品終わる位に摘んであった薬草が、そのままごっそり落ちててな。しばらくそこにいたんだけど誰も戻ってこねえし、そのまま置いておいても摘んじまってるから駄目になっちまうだろうし。それそのまま持って帰ったら時かな」
「……ぁ」
俺が思い出しながらそう言うと、隣で小さな声が聞こえた。
……聞こえて察した。
「……アリサ」
「なんですか?」
「……マジでごめん」
「……いいですよ、別に。どうせ拾いに戻れない状況でしたし」
多分あり得ない様なトラブルが起きて納品前にそんな事になっちゃったのだろう。
とりあえず……今度なんか奢ろう。
それで許してもらえるとかそういう事ではないけれど、とにかくそうしようと思いました。
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