【6話】ヴラー村発展計画
【念力】の実演をした翌日、俺はまた村を散歩していた。
今日は村の子供達と親睦を深めることにしたのである。
兄さんは領主の息子として顔が知れているが、まだ3歳で外出が乏しい俺はあまり知られていない。
ここらでいっちょ、という訳である。
ちなみに昨日の【念力】だが、なんでも、基本的には魔法陣や詠唱などで魔力回路を構築し、その回路によって形成された魔力の形を以て魔法というらしい。
だから俺がやったのは本来の意味では魔法じゃないし、理屈を教えても父さんや母さん、兄さんは真似ができなかった。
となれば、これは体質によるものなのだろう。
それから属性を感知できる母さんだが、普通の人はそんな事感知できない。
ではなぜそれが可能だったかというと、それは母さんの持つ種族特性、
なんでも目に魔力を集中させると、魔力が見えるのだとか。
練習すれば同じ目を持つ俺もできるようになるらしいよ。
というか母さん吸血鬼らしい、はじめて知った。
父さんは
吸血鬼なら血液操作くらいできるのではないかと思ったが、自分の血液を魔力で感知するとか、どんな離れ業だと逆に呆れられてしまった。
解せぬ。
母さんの種族にはほかにもいくつか
調査が必要なようだ。
何の確証もない予想では種族的な能力が
という訳で現在、広場で子供達の集団をみつけた俺は、そこで知り合った同年代のチビっ子たちにわらわらと集られている。
大人や兄さんの年齢になればほとんどが顔見知りばかりなのだが、まだ小さい俺は外出する事も少なく、訓練に明け暮れていたためにチビッ子の知り合いが少なかったのだ。
知らない子が近寄ってきていたので、彼らからすれば興味を引くものだったのだろう。
「なーなー! おまえ、つぎのおはなしなんだな!つぎの!」
「きかせてー?」
「うーん。じゃあ、次はたけとり物語りかなぁ」
「たけってなんだな?」
「たけー?」
「うん、竹」
積極的に聞いてくるのは小麦色の肌の少年、長い耳が特徴の
そしてその子に便乗しているのは、青白い肌をした少女、レイス族と鬼族の
他にもいるけど、俺に話しかけてくるのはだいたいこの二人だ。
筋力が高く器用で、父さんの種族より純粋な筋力では劣るらしいけど、その代わり器用だから弓とかナイフとかの道具の扱いがうまいのだとか。
物作りも得意だ。
レイス族は半透明のあの幽霊みたいな種族で、鬼族は父さんの種族の
種族特性である
なにそれすごいって感じだ。
まあ長く練習すれば可能かもしれないっていう話なので、まだできないらしいけど。
で、次々に昔話を披露して行き、ところどころ神話や日本アニメを混ぜながら話していると、徐々に子供達のテンションは上がっていった。
まあ娯楽の少ないこういった世界だから、こういう物語は新鮮なんだろう。
ディー君やサーニャちゃんの目もキラキラしてきている。
「あたしー、おひめさまになるー!」
「ボクも、
「頑張れ」
うん、ちょっとやりすぎた。
もうディー君に至っては闇妖精なのか光妖精なのかわからない。
光るってなんだ、それでいいのかディー君、アイデンティティ的に。
その後はお昼になり、子供達がお昼ごはんのために連れられて帰る頃になりはじめると、今日遊んだ子供達からまた色んな事を教えてと強請られた。
俺はそれに了承し、またあとで教えることになった。
正直訓練の息抜きにもなるし、これを機に文字や計算を教えれば開拓村の生活水準も向上するだろうと考えたのだ。
開拓村であるが故に行商人との交易が必須なこのご時世、文字の読み書きはもちろん、計算ができなければ騙される事にも繋がるだろう。
というか、商人がこちらの足元を見ない訳がない。
と言う訳で、生活水準の向上のためにも教養を身に着けさせることにしたのである。
遊び感覚でやっていけば、やる気のある子ならすぐに身に着くだろう。
この事を父や母に説明してもいいが、まあしなくてもいい。
聞かれたら答える程度で構わないはずだからね。
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