咄嗟の動きのこと
もう少し息子との事を書きます。
ある日、地元を散歩途中に、思い立ってスポーツ用品店にベビーカー担いで入り、竹刀を購入しました。
左手に竹刀を持ちながらベビーカーを押して街中を進むと、こちらを見る周囲の目が違うなというか、もはや気分は萬屋錦之介であります。
で、竹刀ですが、女房とベビーカー押しながら公園に行って、竹刀使っていろいろ稽古しました。世間では子供連れた公園デビューでいろいろ気に病む人もいるようですが、うちは竹刀持って公園デビューです。
そんなことやってると公園にいるお母さん方は離れていきますが、反対に子供たちは寄ってきます。
また、こんな事もありました。
息子がもうすぐ1歳になる2006年(平成18年)の1月、地元の神社でお
お祓いが終わり休憩所に入って、お祓いの最中ずっと抱き抱えていた子供をベンチに降ろしました。それから背負っていた荷物を降ろしてベンチに置こうとしたら、
息子の身体がベンチから斜めになって落下してる最中でした。
わずかな時間目を離した
よく事故に遭った時に、周りがスローモーションで見えたと聞きますが、それが我が身におきました。
スローモーションで見えるというより、脳がクロックアップしたという方が正確かもしれません。
最初は空中に斜めになって静止してるように見え、理解が追いつかないうちに、ゆっくりと落下している動きが目に入った。即座に左手が動いて息子の服を
でも服と身体の間には余裕があり、息子の身体は下降を続けた。これはマズイと服を掴んだ腕を引き上げようと動いたが、今度は上昇する胴体に反して頭部が下降を続ける。このまま引き上げると1歳未満の
結果、息子は最初に腰、次に頭が石材の床にぶつかりました。息子が大泣きして、横にいた女房は初めて子供がベンチから落下した事に気づきました。
この間わずかコンマ数秒。
服を掴んだことがブレーキになって大ケガはしませんでしたが、おでこに蚊に刺されたほどのコブができました。
息子がもう少し大きくなり、たぶん2歳くらいの頃ですが、近くの回転寿司に行った時の話。
うちの家族3人は、回転寿司のテーブル席に座りました。テーブル席は3つありましたが、入った時は私たちしか利用者はいませんでした。女房と息子は厨房を背にして座り、私はその対面に座りました。
壁に開いた四角い枠の奥にある
レーンが曲がった先は全てカウンター席で、客は当時まばらに数名おりました。
さて、食べ始めてしばらく経った時、異変に気づきます。
壁からこちらに流れてくる寿司の皿の脇に、ゴキブリの姿が!
どうする俺?
皿の位置から、店内の他の客はゴキブリの姿が見えていない。女房も背後を振り向かない限り気づかない。今ここで声を上げるべきか? いや、声を上げたら騒ぎになってしまう。店は営業停止になるかもしれない。
皿とゴキブリはどんどんこちらに近づいてくる。
黙っているべきか?
そう思った時、ゴキブリが動きだした! 皿から離れるかと思ったら、逆に皿の上に登りだした!
手元にあるお手拭きのウエットティッシュを目にして決断! やるしかない!
私はウエットティッシュを左手に広げて持ち、立ち上がったと同時に刻み左逆突きの要領で手を伸ばしゴキブリだけを掴み、席に座りました。
私の左手側を流れて行く皿の上にはゴキブリの姿は無い。私の向かい側で子供の世話をしている女房は私の動きに気づかなかったらしい。カウンター席の客の誰も気づかなかったようだ。本当に成功したのか?
私は手の中に握りしめているウエットティッシュに意識を向けた。ウエットティッシュの中に平たい何かがあり、それが動いていることをゾワゾワする感覚と共に認識した。
確認するまでもない、というか確認したくない。
そのまま、ブチっと
お寿司を腹一杯食べて店を出てから、何が起きたのかを女房に説明しました。やはり全く気づいていなかったようです。
あれをもう一度やれと言われても無理だろう。ゴキブリの反応速度に勝つなんて普通あり得ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます