国際松濤館 市原重幸先生のこと

焼肉屋のこと

　2004年10月23日、この日は土曜日でしたが仕事に出ていました。

　派遣先ではなく、度々出てくる友人「Y」の会社にです。

　ホームページのメンテとか通販の注文の処理とかで、週に1日くらいの割合で仕事の手伝いに行ってました。

　この日も昼前に来て18時近くまで仕事しまして、さて帰ろうとしたところ、かなり大きく建物が揺れました。

「新潟県中越地震」です。

　「Ｙ」の会社には特に被害はありませんでした。テレビやネットで震源が新潟だとわかり、自宅にいる女房も無事である事がメールで確認できたので、とりあえずは問題無し。「Ｙ」の会社を出ました。

　が、電車が全く動いてない。

　全線ストップして点検作業中。復旧がいつになるか不明。駅のホームどころか、駅周辺にまで人がいっぱい。電車が止まるとこうなってしまうのか。

　こりゃ長期戦だな。気持ちを入れ替えて酒屋で缶ビールを買い、グビグビ飲み始める。さーて、新宿まで歩くか。

　と、歩き始めたところで、会社閉めてきた「Ｙ」とバッタリ出くわす。電車がストップしてると伝えると、すぐに「Ｙ」はタクシーを停めようと動き出す。でも当然空車のタクシーは捕まらない。

　というわけで、2人して新宿駅目指して歩き始めた。とりあえず新宿駅まで歩いているうちに電車復旧するだろうという考え。復旧してなかったら更に池袋まで歩くしかないかな。当時「Ｙ」は池袋の隣、椎名町駅そばにアパートを借りて住んでいた。埼玉に戻るため池袋に向かう私と向かう先は同じ。

　で、しばらく歩いていたら、ちょうど我々の前でタクシーが止まり、客を下ろした。すかさず「Ｙ」はタクシーを確保、我々はタクシーに乗り込んだ。池袋まで行くようタクシーに伝えたが、すぐに「Ｙ」のケータイが鳴った。

　市原先生からだった。

　西武新宿線の某駅近くの焼肉屋にいるから来いという。電車止まってますがと言うと、もう動いているという。「Ｙ」は私も一緒だと告げると2人とも来いと。

　まあ、「押忍」しかないよな。

　というわけで、市原先生お気に入りの西武新宿線某駅近辺にある焼肉屋に初めて行きました。おばさんが1人で切り盛りしている小さなお店で、7人も入れば満席になるカウンター席しかない店です。

　この焼肉屋、この後も市原先生から呼ばれて3回くらい行ったかな？ 行くたびに市原先生から呼ばれたメンバーが違いまして、田中先生だったり伸明先生（現館長）と奥様だったり総本部の道場生だったり。私が行く時は常に「Ｙ」と一緒でした。というか「Ｙ」にくっついて行くのがいつものパターン。

　この市原先生お気に入りの焼肉屋、場所とか詳細を書こうかなと思ったのですが、やめておきます。

　だってね、やっぱダメですよ生で肉出しちゃ！ レバ刺し美味しかったですけど、やっぱマズイよ。O157とかカンピロバクターとかサルモネラとかトキソプラズマとかありますから。特にこれから赤ちゃん作る予定の女性は絶対ダメ。お腹の子に障害が残る危険性があります。

　市原先生は「こんなのはね、アルコールで消毒すりゃ大丈夫なの」と言いつつ生の肉を次々にビールやマッコリで胃に流し込み、店のおばちゃんは「これは新鮮な肉だから大丈夫」と言って、レバーの塊（かたまり）をどんどん捌（さば）いてました。

　でも、「新鮮さ」と「衛生的」は必ずしもイコールではありません。それは「強さ」と「正しさ」、「弱さ」と「優しさ」、「若さ」と「幼さ」も同様です。必ずしもイコールではありません。

　だけど美味しかったな、あのレバ刺し。