C・W・ニコルさんのこと その1

 1993年(平成5年)3月末、私は2級の審査に合格しました。これで茶帯を締めることになります。

 私が1年前に引っ張り込んだ西崎は、私同様運動とは無縁な生活を送っていたのですが、1年間真面目に稽古を続けて6級に合格しました。彼は大学も卒業し、地元岡山の企業に就職も決まっていました。審査の日は最後の稽古の日でもありました。彼には私が使っていた緑帯を餞別せんべつ代わりに渡しました。


 この年の8月、国際松濤館全国大会の会場である代々木第2体育館に向かう途中、原宿駅前の歩道橋の上で、西崎とバッタリ再会するのですね。

 なお、この大会に有級の部で私も出場しましたが、結果は聞かないように。

 ただまあ、あんな晴れがましい場所に偉そうに立ってるなんて、数年前には想像すらできなかったわけで、それは感慨深いものがありました。

 この日はいろいろと嬉しくて、大会初日終了後に、原宿のメキシコ料理屋でしこたま食って飲んでハメ外してしまいました。

 目が覚めたのは池袋西口の路上でしたな。

(この時には会社の寮を仙川のマンションから東長崎のアパートに引っ越していました。東長崎の方が私にはあっていましたので)


 さて、病院のベッドの上から「拳児」とC・W・ニコルさんの本を読んで夢想を続けてきた私ですが、その夢想がある意味クライマックスを迎える時がきます。


 国際松濤館本部道場の合宿が、8月末に黒姫でニコルさんと一緒に行われるというのです。

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