お通夜の日のこと その1

 翌6月18日の月曜日、私は狭山市にあるお通夜の会場に向かった。

 たまたま勤務が非番でよかった。明日はまた5時半起床で泊まり勤務だから、告別式の参加は無理だ。


 久しぶりに紺色のスーツを着た。クローゼットの奥から昨夜なんとか引っ張り出してきた黒のネクタイも締める。

 道中購入した香典袋に、これも道中購入した筆ペンで名前と金額を書き記す。

 特になんて事もない作業だが、慣れないもので冷や汗かきながら行った。もっとも、あまり慣れたくは無いものだが。

 そういえば、前回黒いネクタイ締めたのはいつの事だろうと考えて、Yの父親の葬儀だった事を思い出す。葬儀場へ向かう途中で、同じく葬儀場に向かう途中だった市原先生とばったり出会ったのだ。

 我々は奇縁だったよな……そう思った途端、また涙が出てきてしまう。


 いかん、このままでは遅れてしまう。

 スマホの地図を見ながら、暗くなった道を小走りに急いだ。

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