#53 ジト目の妖精ココア
ユウヒのガイド妖精ココアに回復を施したのはいいが、やはりあまり効果はないみたいだ。ベッドに寝かせてやると、特徴的なジト目で俺を見上げる。
ミルクは隣に降りたち弱ってしまったココアを心配そうに見つめている。
すると、聞き覚えのあるおっさんの声が。
『白のプレイヤー……』
不気味な人形、星型の珍妙な人形であるデカラビア、彼? が声を発したが、すぐにユウヒがそれを遮る。
「デカラビアさんは話すと長いから、少し黙っていて……」と、言ってスマホを取り出し、その中にデカラビアさん? をしまってしまう。彼女のアイテムボックスはスマホみたいだ。
ほんと、皆それぞれ違うみたいだな。
「すみません、シロさん。」
「いや、それより……黒のプレイヤー……ネロの事をもっと聞かせてくれないか?」
「……はい……ここではなんですので……そうですね、妖精達が眠ったら、外で話しませんか?」
「わかった、ユウヒちゃんも少し休みなよ。……あ、これ。ハンバーガーでも食べてさ。」
俺はマフモフバーガーを取り出し、ユウヒ差し出した。
「あ、マフモフバーガー! ……これ、知ってます!」と、そう言って嬉しそうにそれを受け取ったユウヒはやっと笑顔を見せてくれた。
フリルはお昼寝中、ベッドの上の妖精達が話しているのが聞こえる。
「ココア? 大丈夫ですか?」と、ミルク。
「ミルク……羽のない妖精なんて……」
「そんな顔しないで下さいっ……ココア。」
「……気付いてるかミルク? チーノのこと。」
俺は窓の外を眺めながら、二人の会話を聞いている。ユウヒはそんな二人をじっと見つめているようだが。
「はい、チーノは……多分、もう……」
「……ココアも……もうじき……」
「だ、大丈夫ですって!」
「ミルク、お前はわかってない……ココアは……」
その時、スッと立ち上がったユウヒは二人の元へ歩み寄る。そしてココアを両手ですくい上げ、
「ココア、少し休もうか……私、疲れちゃった。」
「……ユウヒ……」
「……貴女も一緒にどう? ミルクちゃん?」
「あ、あの……ミルクはシロさまの元へ……ほら、ボッチになってさみしそうですから!」
ミルクは小さな羽をいつもより激しめにパタパタさせながら、俺の肩にダイブしてきた。そしてすぐに胸ポケットへ飛び込んでしまった。
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