妖怪に恋した僕と英雄譚 -雨中の猫-

作者 楠 冬野

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★★★ Excellent!!!

勝手な妄想かもしれませんが、作者様と私は考えかたや嗜好のようなものが、どこか似ているように感じられました。好みの作品が高評価になるのは当然といえば当然です。しかし、そういった点を差し引いて考えても、この作品があまり読まれていないのは非常に残念ですし、何やら不当な扱いのように思われてなりません。

面白ければいいという作品も多くあります。それを否定するわけではありませんが、私は書き手が何かを訴えようとしている『ブラスα』のあるものに魅力を感じます。この作品にはそれがあります。23話・37話などは、作者様の考えかたが伝わってきて好きなエピソードでした。

登場人物は少ないとはいえません。二つの外観を持っていたり、二つの名を持っていたりする人物も出てきます。それでも読み手が混乱しないのは、きちんとキャラクター設定がなされているからでしょう。しかも個性的なキャラクターがたくさんいます。脇役を主役に代えてスピンオフ的なものが書けるくらいに、脇をかためるキャラクターに魅力があります。

現在までレビューで評価した方は、全員が星3個をつけています。これは読みさえすれば魅力が解るということだと思っています。

★★★ Excellent!!!

親しい後輩が誉めていたので拝読させていただいた。
デビュー前の方のノベルはあまり読んでことがないため、多少ずれているかもしれないが感想を書かせていただきたいと思う。

良いと感じたのは、作者がすべての登場人物にきちんと責任を果たしている所。
作者の都合で登場人物が動かされているように見える作品も少なくないと思う。
典型的な例としては、ごく平凡な主人公の筈なのに、次々と好意を寄せる女子が登場してくるようなラブコメ。なぜ女子達が主人公に強く惹かれているのか、よく分からない作品は多い。
しかし楠先生の作品は、緻密な心理描写がなされているため、そういった違和感がない。脇役にもそれが徹底されているのは美点だと感じた。

商品として売られている小説との比較になるため、手厳しく聞こえるかも知れないが、欠点と感じられた部分もある。
しばしば時間が逆行するため、やや煩雑な印象を受けた。決して“混乱する”“理解できない”と言う事はないのだが、すっきりしないと僕は感じてしまった。
文章表現は的確に言葉が選ばれていると感じた部分と、いささか違和感を覚える部分があった。
たとえばクライマックスの戦闘シーンで“ドヤ顔”という単語が出てきたが、緊迫したシーンに砕けた表現は相応しくないと個人的には感じた。
ただし、あくまでも個人的な意見である事は強調しておきたい。

ストーリーの構成力もあり、総じて高いレベルに仕上がっている作品だと思う。長文にもかかわらず、最後まで楽しく一気に読むことができた。