幕間1-1:協力者現る
「お父さんっ! 大丈夫?」「うえぇ~ん……お父さぁん」
「二人とも、ケガはないみたいね! 無事でよかったわ」
最後の1台を海に沈めたアイネは、日和たちの前に舞い降りて、2人を抱きしめた。
だが、急にがくんと力が抜けて、アイネはその場にしりもちをついてしまう。
「いっつつ……安心したら、背中と足が…………」
「お父さん!! せ、背中が、背中がああぁぁ!」
泣き虫日和がアイネの背中を見ると、銃弾による傷で皮膚がズタズタになっており、翼のあちらこちらが赤黒く染まってしまっていた。
しかも足を見れば、学生靴はボロボロで、足の指がぐしゃぐしゃにねじ曲がっている。おそらく日和たちを守るために、無理してゴリラ兵器を蹴り続けたからだろう。戦車砲の直撃すらびくともしないすさまじい装甲に対し、内部に衝撃を与え続けることで対処したアイネだが、虹のオーラを纏わせていてもその反動はすさまじかったようだ。
「ありがとうお父さん、よく頑張りました♪ ひよりんがはなまるあげちゃうっ!」
「あ、あはは……ありがとう」
娘から花丸をもらうというのも妙な気分ではあるが、娘を守れたことは誇ってもいいかもしれない。
痛みをこらえながら、とりあえず応急処置をすることにしたアイネは、お姉さん日和にキャリーバックを持ってこさせ、妹日和にはとりあえず術で痛みを和らげてもらうことにした。
ところが、戦いが終わったばかりだというのに、妹日和がまたしても何かの接近を感知した。
「ひうぅっ!? ま、また何か来るよお父さん!」
「くっ……次から次へと、今度は何よ!」
脚がやられている今、さっきのような強敵が現れたら勝てるかどうかわからない。
アイネは痛みを堪えつつ両手に虹天剣を握り、何者かの接近に備えた。
近づいてきたのは、中型のホバークラフトに乗った二人組の女性だった。
後ろに積んである二基のエンジンを回す音をたてながら、強引に浜の上に乗り上げ、女性二人が島に上陸してきた。一方は紫髪をポニーテールにした特殊部隊のような出立の女性、もう一方は青緑色のセミロングの髪の毛で、とがった耳を持つエルフの女性だ。
二人はすぐに壊れた兵器の残骸と、ケガをして力なく座り込むアイネを発見し、手を振ってきた。
「おーぅい、そこの天使ちゃん、大丈夫かーい?」
「また随分派手にやったじゃないの」
「ま、待ちなさい!? 気安く近付かないで!」
平気で近づいてくる二人が敵か味方かわからない以上、うかつに近づけるわけにはいかないと判断したアイネは、なおも虹天剣を構えて相手を威嚇する。泣き虫日和はアイネの背中に身を隠し、震えながら必死に背中の傷に治癒の術をかけ続ける。
一方相手は呑気なもので、今頃になって自分たちが敵とみなされていることに気が付いた。
「あー……たんまたんま、私たちは危害を加えに来たわけじゃないから!」
「なによ、せっかく助けてあげようと思ってるんだから、感謝したらどう?」
なんとかアイネの警戒心を解こうと必死の二人。
すると、いつの間にか二人の足元に、キャリーバックを持ってきた姉日和が、にこにこ笑顔で近寄っていた。
「お父さーん、大丈夫だよー! この人たち敵じゃないみたーい!」
『いつの間に!!??』
気配もなくいきなり現れた日和に、二人はビックリ仰天してその場に同時にしりもちをついた。
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