19話 二人で ナラ
「うーん…いない。ナラが探してやってるのにとか愚痴が出てきそう」
あれから、
誰かと食べてるわけでもない。だっていろんなテント見てきたけどどこにも柚和はいなくて色んな人に「
「トイレかな…」
そう考えたけど、ナラは入れないんだ!どうしよー。
知り合いの男子に男子トイレに柚和いるか見てきてと頼もうかな。
「何やってるの?」
「え?」
と言って振り向いて視界に入ってきたのは
「トイレに入ろうか迷ってた」
「ここ野郎専用の電車で、例えでいうグリーン列車並みのトイレなんだけど」
「ごめん。ちょっと意味がわからない。あ!ところで戸谷塚君はトイレに行くの?だったら序でに洋式の方にだれかいるか見てきてくれる?」
「え?あーまぁいいけど、入るなよ?」
「入らないよー。何言ってるの」
と言って私はケラケラと笑った。運動会だから簡単にピンで留めてた前髪が落ちてきて邪魔にならないようにまた耳にかけた。
「だれもいなかったけど、どうしたの?」
「ううん、なんでもなーい。ありがとね。野郎達とお昼楽しめよ!」
グッと親指をあげて、グッドサインを出した。
「おう!なんか困ったら言ってな〜」
そう言って、彼は歩きながら来た方向に戻っていった。
「柚和。本当に、どこにいるの」
それからまた校庭を歩きながら探したけど、全然見つかなかった。
一旦、自分の家族がいるところまで戻るとお母さんがこう尋ねてきた。
「いなかったの?」
「うん。どこいったんだろ」
「学校害とかにいるんじゃない?」
「それだと、範囲が広いよ。而も流石に学校外には出ない、と思う」
「うーん…ナラもうここで食べたら?」
「それは無理。今年こそは一緒に食べるんだから絶対に無理」
「でも、いないんでしょ?」
「じゃあ、探してくる」
私はそう言って、日本のポカリと保冷バッグに入ってる弁当と、持ってきたテーブルの上にあったウインナーを一個パクっと食べてその場から離れた。
「これだけ探してもいないっていうことは校舎の方にいるのかな…」
私はそう思って、走りながら駐輪場を通って校舎の裏まで行ったけど人影すらなかった。
一応、そのまま奥の方も見に行ったけど何にもなくて、誰もいなかった。
昇降口前まで戻ってきて、チラッと校舎の中を覗いた。
周りに先生や生徒がいないことを確認して私は入っていった。
「校舎内に入っちゃったよ〜。怒られたらどうしよ…」
校舎内だと先生がいる可能性があるので、足音立てず職員室から見えるところには行かない。
それを、考慮した上で私はまず教室に出向いた。
柚和の席まで行くと、机がおおっぴらに出ていて何か取り出した後みたいな感じだった。
そこから、チラチラと職員室や廊下を伺ってるけど先生は見当たらない。
柚和がいればいいんだけどえと思って教室、トイレ、体育館などいろんなところを見回ったけどいなかった。
「校舎内にもいないのかも…」
そう呟いた時廊下から足音が聞こえた。私はすぐにさっと隠れて物陰から様子を伺った。
「ふぅ、疲れた〜。これで午後もやんのかよ。もう帰りテェ」
「まぁ、もう少し頑張れよ。帰ったらゲームやんだろ?」
「やるに決まってるだろ」
「受験生なのになー。まぁ俺も人のこと言えないけどな」
そんな会話をしながら、昇降口の方に歩いていった。
(ふぅ、びっくりしたー。今戻るとあれだし2階3階も見てこよ)
物陰から立ち上がって、誰もいないことを確認したら階段のところまで行って2階に上がったけど、なんか2階にはいなさそうな感じがして3階に行った。3階に上って私はチラッともう1階上の屋上に向かう柵を見た。
(もしかして屋上にいたりして)
そんな事を考えたけど、それからクスリと笑った。いるわけないと。第1鍵閉まってるし柵もあるし…と思ってたけどもしいたらと思って柵に近づいてみた。
(ちょっとだけ。そうちょっとだけ。誰も見てないし今なら)
と思って柵を乗り越えて私は屋上の階段を上った。
ドアの前まできて、ドア窓越しに外を見るけどよく見えない。そしてドアノブに手を伸ばしてくるっと回すと開いてしまった。そして思わず
「えっ?」
と呟いてしまった。
そのままオズオズとした足取りで屋上に入ると案の定目的の生物はいた。
(あ!柚和いた〜♪)
壁に寄りかかってうたた寝してる柚和を見つけて、喜んでしまった。
「なんで、こんなとこにいるんだろ…」
寝てる柚和の前に立って膝を屈めてそう言った。うたた寝してる柚和は疲れてるのか軽い寝息をたてて眠っていた。だけど折角お昼を持ってきたから肩を揺さぶって優しく起こしてあげる。
「柚和。柚和。起きて」
そしたら、ぱちっとは起きないもののうっすらと目を開けて、そのあと私の顔を見るやパチクリを繰り替えして
「おはよう。どうしてここにいるの?」
と尋ねられた。
「見つけたから。ささ、お昼食べよ♡」
隣に座って、もってきたタッパーとお弁当箱をだして柚和に「食べよ?」と言う。
「え、ああ。うん」
と曖昧に返事をくれたけど、了承を貰ったからタッパーを開けて煮物の肉じゃがを取り出した。きゅうりの浅漬けが入ったタッパーを開けて細かく切ったきゅうりを「柚和」と言ってこっちに向いた時に口の中に放り投げた。
「うわっ!何入れたの?ん?…きゅうり?
「せいかーい♪おにぎりあるよ。何食べる?しゃけ、ツナ、明太子、昆布、いなりとかもあるけど私的に梅と塩昆布で作ったおにぎりを食べてほしいなぁ」
「もう食べてる。美味いね」
「どうも〜♪福神漬けも作ってきたけど、お肉も食べてね。午後ぶっ倒れても知らないよ?」
「豚肉だよね。おそらくだけど豚肉の生姜焼きかな?」
「せいか〜い♪よくわかるね」
「一応僕も料理は適当にするからね」
「そうなんだ。はい。厚焼き玉子」
「こっちの弁当箱にのせておいて。あ!からあげあんじゃん。いっただき〜」
「よかったよかった♪お昼食べないと倒れちゃうからね」
私が作ってきた食べ物をパクパクと口に運んでいくのを見てると自然と笑っちゃうけど食べてくれて嬉しいっていう気持ちの方が大きかった。
「春巻きと、ウインナーとかもあるよ。あ、はい。ポカリ」
「ありがと。ま、悪だけど屋上で二人で飯食べるか」
ニシシと悪戯っ子みたいな笑い方をして、作ってきた福神漬けを食べていた。
(これで午後も頑張ってね。お昼持ってきても親もいないみたいだからせめてこうして柚和になにかしてあげれて良かった。来年も一緒に食べれたらいいなぁ)
屋上にいる悪い子二人は、休みが残り5分前になるまでここでゆっくりした。
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〈作者コメント〉
☆レビュー貰いました〜♪ありがとうございます、
やっぱり評価されると筆が踊ります!
タコ的にはコメントがすごい欲しいのでどんどん欲しいです(笑)
頑張って投稿していくのでこれからもよろしくお願いいたします(*´︶`*)
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