2年 色々と暑すぎる夏

14話 6月19日 運動会

秋乃はあれから、ドンドンと症状が良くなっていき昨日遂に退院した。


八つ当たり気味に当たってしまった看護師さんに「秋乃ちゃんをよろしくね」と言われて「すみません」と言って頭を下げたら「ふふふ」と何故か笑われた。


秋乃の亡くなったお父さんの両親が「君がいるところに行きたいと煩いからそっちの学校に転校させることにするよ」と言ってきて内心、おいおいいいのかよ。と突っ込んでしまったけど既に決定事項だったらしく在籍していた中学校の先生も知っていた。


で、とても早いけど秋乃はお先に俺の家に在住している。


で、今日は休日なのに運動会。という事は家には秋乃しかいないことになる。

莉奈も運動会でいない。父親はどこかで倒れてるんだろうから当然いない。


「家でおとなしく待ってる?」


と聞いたら


「行くに決まってるのに何言ってるの?」


と言われ、さも俺が可笑しいと言った言い方だった。


まぁでも、うちの学校に転校するから事前訪問といった形で見学?をしておくのはありだと思った。


そして現在。うちの学校では一番最初のプログラムに必ずリレーがありさそっく位置についていた。


「な、なんで!俺が一番に!?」


「あー。なんか急に体調悪いと言って第1走者がリタイアしたらしいよ」


絶対狙ってたろ。と内心毒づいたけど仕方ないと諦めて所定の位置まで歩いていく。


(うわ〜わかりやすいところにいるよ…)


入場門の真横に秋乃はいてニコニコと手を振っている。軽く苦笑いを返すだけでまたニコニコ大袈裟に手を振るので周りの迷惑になるし恥ずかしいからやめてほしいと走る前に懇願した。ほかの男の走者も女の子に手を振られるているからか若干、嬉しそうに見える。


外野からは「頑張れー」「コケるなよー」「焦らないで落ち着いて」「深呼吸」「抜かされるなよ〜」「ドンマ〜イ」と同じ組み奴らから声援が飛んでくる。


因みに一組は赤で二組は白。三組は赤。四組は白。

もっと簡単に言うと偶数が白で、奇数が赤。三年生は3クラスしかないから出席番号が16番から下の人は赤になった。


とまぁ、そんな事はどんでもよくていよいよティーチャーが開始合図のピストルを上に掲げたところで走る姿勢になる。


「よーい…ドン!!」


と言われた瞬間舌を噛んで、呼吸を止めて、地を蹴って全速力で走る。呼吸を乱すよりも速く、2番走者に渡して俺は2回目の走る準備をする。


「一番最初の人、速!」「あれはマジで早かった」「柚和ってあんなに速いの?」

などとコメントを貰ってるがすぐに次の走る準備を僕はしてるんだ!


マイクで実況しているけど、それどころじゃなく急いで12番のビブスに着替えて、走るレーンのところまで歩いていく。


このリレーは今更だけど一組、二組、三組、四組でやっていて1位と2位を白組さん達に取られると負けだけど現在一組が先頭を独占していた。


2位が、四組で次第に追いついて来ていた。現在うちのクラスは7走者の人が頑張っており2位3位の二組と四組がちょうど今7走者目にバトンが渡ったところだった。


「頑張れ〜!」1年生、3年生のみん頑張れと言ってきて賑やかだけど走っている人は見向きもせずに精一杯頑張って走っている。三組は3位になら頑張れば入れるかもしれないけど棒抜きはもうキツイといった感じだった。


「お!四組が追い上げてきた!いけいけー!」「一組負けるなー!」「頑張れ!」

「三組、そこから追い上げろ〜!」9走者まで来て、走る準備を始める。


「1走目、12走目、13走目、14走目15走…は?今更だけど僕なんでこんなに走ることになってるんだろう…おかしい気が」


現在二組の9走者目の人が三組に抜かされそうになってるけど三組の人がすれすれと言ったところで二組が離していった。


「あー三組惜しいかったな」


そんな声が聞こえたけどおそらく三組の誰かが言ったんだと思う。


「さてそろそろか…」


はぁ。とため息ついて並ぶ。1位だから端っこに並ぶけど抜かされそうで怪しい…

と思いながらも11走者の女の子にバトンが渡っていよいよというところで追い上げてきた四組の人に当たってしまい、転んでしまった。


「あー終わったな」「ドンマイドンマイ」「一位はもう無理かもなー」「頑張ったと思うから大丈夫!」「白組の勝ちだな」


そのまま四組の人はこちらまで走ってきて12走者目の人はテイクオーバーゾーンを最大限に利用して走っていった。転んだ女の子は悔しさを滲ませながら血が出ている足を引きづりながらこちらまで走ってくる。


既に、二組にも抜かされていた。


もう少し!もう少し!頑張れ!こころで念じ続けたのが効いたかバトンを渡してきた。


「ごめんな」


「君の分まで抜かせるかわからない。けど後は任せて。ゆっくり休んでて」


何か言おうとしたけど、言う前に僕が急いで言いたいことだけコメントしてすぐに走っていった。


「柚和!頑張れーーーーーーーーー」


飛び出す直前にでかい秋乃の応援を貰い、走る前に軽く三組の方に視線を投げてすぐに飛び出した。


前を走っている二組とは15mくらい距離。楽勝。そのままドンドン足に力を込めていって次第に10m。5mと縮めて抜かしてやった。


(まず一人)


そのまま13走者にバトンが渡っている四組を追いかけるが今走っている四組の走者がいかせん速い。だからまた少しスピードをあげて縮めていく。抜かした二組の子より断然速く追いつくのに時間はかかってしまう。でも徐々に縮まっていくのは、感覚でなんとなくわかったので無我夢中、一心不乱にに走る。


「が、頑張ってー!」


残り15mくらいと言ったところで四組の速かった13走者の男の子と同じくらいの速さの男の子がまた参上。は?マジ巫山戯んな!と言いたいけど中盤で離す作戦ぽいのでこれなけ速い人が中盤に固まっているのも納得。


だから、ほんの少し。耳に聞こえた声援にほんの少しだけど火を焚きつけられたから思いっきり足に力を込めて走っていく。フルスロットルまでとはいかないけど8割ぐらいのスピードで追いついて遂に抜かしてやった。


そのまま四組の14走者の速い子を遠ざけていき15走、16走分も走り切ってやった。


「はぁーーー。うっ。おえっ!うっうへぇ」


で、走り終わった後の僕の姿がこれである。


走り切ってぶっ倒れた僕を走り終わった奴、走るやつが見てくる。


「あー気持ち悪。休憩したいけど怪我した子に一言だけ言いにいかなきゃ」


(取り敢えず最初のリレー。僕の役割は終わった)


そのまま保健室の先生がいるとこまで走っていった。


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