第8話

 それを見て俺は、まるでフクロウだと思った。丸い眼鏡のようなタクティカルグラス。鼻から下を鳥のくちばしのようなマスクが覆っている。その殆どが暗闇と同化しているため、全容が分からない。人かもしれないし、ロボットの一種かもしれない。


 ただ、こんな時間のこんな場所に何もせず突っ立ている輩がまともなはずがない。それは確かだ。。ぞっとするような数が立っている。だが正確な、数は分からない。


 俺は悪運強い。おそらくこの位置丁度で止まらなければあの場所は、視えなかったはずだ。

 ……どうする。帰る方向は、ソイツが居る方向だ。何も気にせず通り過ぎるか? それともこちらから仕掛けるか? いやいやいや、あの数に仕掛けていったところで返り討ちされることが関の山だ。


 普段からテロリストのような連中を相手にして居る分、怨みは買いやすいのは確かだ。しかし、しかしだ。本当に気のせいである可能性もある。

 まあひとまず一歩踏み出して、様子を確かめてもいい。


「……あら元気だった?」


 それは、俺の足の裏が地面から少し離れたタイミング。軽く身体を震わせながらそいつの方向に視線を移した。


「あ、ああ。まあまあだ」


 案の定、俺の知らない誰かがそこに立っている。

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