第7話

◼️


「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 一階エントランスホール。エレベーターから降りた俺を待つのは広大なエントランスホールと何十人もの受付者たち。これもあのパーティ会場の上級市民同様、生身の人間ではない。簡単に言えば、映し出される映像ってことだ。人工知能が映し出す映像を制御している。対象者が男であれば、好みの女を映し出し、女であれば好みの男を映し出す。生身の人間に限りなく近いロボットもいるが、壊される可能性を想定して映像になった。


 エントランスホールを抜けて、出入り口の扉を抜ける。もちろん全て自動制御。手を触れることもないし、扉なんてなかったかのように歩かせてくれる。


 外に出ると月明かりが差し込んだ。もう夜だった。昼間に『ドこデもドア』の前にいたはずだが、時間が経つのは早い。

 俺は周囲を見渡す。ここは、この通りはこの街で一番美しい。レンガで舗装された道路に、旧時代の建築様式で建てられた建物群。特徴的な尖ったデザインの街灯もよく目立つ。……と言っても中身は全て現代の技術に置き変えられているが。つまり古き良き昔をデザインした街並みと言うわけだ。エボルブズ社の初代社長がそう決めたらしい。


 ん……? 何かいる……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る