第6話


 ああ……ここだったのか。

 周囲の青さは消えていた。白で統一された部屋。俺が乗っていた飛行艇が置かれているだけあってかなり広い。……ここは、エボルブズ社支部大会議室。


 高い天井に設置された機械があの状況を作り出していたわけだ。

 単純にあの映写機から映し出される映像を現実世界に投影したもの。いわゆるプロジェクションマッピングというもの。大昔から存在してる技術。しかしもはやほとんど現実と同化していて投影されれば、それが偽物かどうか肉眼では判別付かない。


「……ああ、すまない」


 頭を下げ続ける女に悪くなったのもあってそそくさと部屋を後にする。ちらって出て行く前に中を見たが後ろの方に『ドこデもドア』があった。俺はあそこから出てきたわけだ。


 しかしなぜあの扉を潜る必要があったわけか。あの場所からこの場所はかなり近い。俺は、廊下を歩きながら理由を考えるが特に思い付くことはなかった。白とも鼠色ともつかない廊下。特殊な金属によって設計された廊下はコツコツと音を立てる。このフロアにはあの大会議室以外には、何もない。まあそうでなければ、俺のような部外者を一人にするはずもないか。


 少し歩くと見えたのはエレベーター。エレベーターの隣に映し出された映像には、一階としか表示がなく直通であることを示している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る