第4話

 スケートボードと言ってもそれの五倍くらいの大きさはある。俺が寝転べるくらいの大きさだからな。……っと、いつまでも寝転んでるわけにはいかない。上級市民様たちの視線が熱くなるぜ。両腕をほぼ透明の飛空挺に立てると一気に立ち上がる。


 拍手、と言ってもその顔は笑ってすらいない。

 座ったままの上級市民様たちは、俺を何にでもないようなものを見るように視線を向けている。恐らくコイツらの実体はここにない。そして飛空挺がゆっくりと止まる。透明な物質で造り上げられた階段が目の前にあった。下はどこまでも青い。街が見えてもおかしくないのだが、それすら見えない。


「さあ、こちらにどうぞ」


「……はい」


 この世のものではないような美貌を持った女性が手招きする。豪華なドレスを纏った彼女は、優しい微笑みを俺に向けていた。俺はその声に従い、階段を登る。落ちそうな感覚は、少しだけ俺の恐怖を揺さぶった。


「ッ!?」


 これはどうなっている……。俺の感覚が変になったのか? どこまでも続くような青が赤に変化する。瞬く度に変化する。青から赤へ。赤から青へ。


「……どうなさいましたか?」


「い、いや、なんでもない……」


 それは、平静を装えたわけじゃない。驚きのあまり、なにも出来なかったんだ。

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