第2話 人の弱点とは人を信じることである

 俺は、この春高校に入学した。入学し、1ヶ月たったのにも関わらず友達は一人もいない。


 中間テスト最終日も滞りなく終了し、家に帰ろうと席を立とうとしたところ、担任の荒波 奈央先生に

「廣田、後で職員室に来い」と言われた。


 後程、職員室に行く。

 荒波先生は俺の顔を見るや否や、大きな溜め息をつく。


「お前、何か私に相談しないといけないことがあるんじゃないのか」


「いや、別にないです」


「そう、言うな。あるだろ少しくらい」


「うーんいや、別に」


「ちょっとでもいいから話してみろ。なぁ」


(先生の聞きたいことはわかる。友達がいないということだと。いや、でもなぜ友達がいないということが悪にされるのか。)

「友達がいないということですか」


「そうだ、君はいつも一人だろ。なぜ、友達をつくろうとしないんだ。何人か君に声を掛けていただろ」


「そうですか。俺を嵌めようと思って、声を掛けてきたのかと思いました。」

「友達がいないだけで何も苦労はしていないですよ」


「なぜ、そうなる。はぁ。ちょっとついてこい」


 連れていかれた場所はあまり、使われていない空き教室だった。

 先生は扉を開け、そこには二人の女子が椅子に座っていた。

 一人は明らかにギャル風で、左手にシュシュを付け、マスカラやマニキュアが派手だった。

(あぁ、こういう人種は嫌いだ。同じ日本人なのに日本語が理解できない。)


 もう一人は、小さくて、可愛らしいが気弱な感じだ。何故か既に涙目になっている。

 (コイツは、ロリコン信者に狙われそうだな。男性本能で守りたい気がする)


 俺たちは3人は先生にこの教室に連れてこられた。

 この先生は何がしたいのか、検討もつかない。いや、検討はついているのかもしれない。


 最初に口を開いたのは、ギャルだった。

「うちら、なんでこんなところに連れてこられんのか、意味不なんだけど」


「そうだな、君達に説明する前に自己紹介といこうか」

 と荒波先生はお前からだと言わんばかり、顎で指してきた。


「廣田 誠です。」


「……それだけか。なんかあるだろ、誕生日とかすきなものとか」


「いえ、個人情報はあまり言いたくないので」

(そう、好きなものなどいうと、変な噂が流れ女子から冷たい目で見られるかもしれない)


「もういい、次」

 次に先生が視線を送ったのは小さい女子だ


「橘 実です。カンフー映画が好きです」


(えっ、男なのか。完全見た目女子だし、スカート履いてるし。でも、女子がカンフーってどういうことだ)


「じゃあ、次うちね。笹波えりか。嫌いなものっていうか男子全般嫌い。同じ部屋で息したくもない」


(コイツ怖ッ、なんなの。いきなり、宣戦布告かよ。もうちょっと言い回しがあるだろ。)


「では、自己紹介も終わったことだし、説明するぞ。お前達3人は人とのコミュニケーション能力に欠けているものがある。それでこの3人には、ボランティア部として部活をしてもらう。もちろん私が顧問だ」


「なぜ、俺たちがそんなことをしないといけないんですか」


「いい質問だな。廣田は他の者を信用しない。橘は気弱すぎて人と話せない。笹波は男子が嫌いと言うだけで全ての男子を敵視している。」

「この状態では今後も苦労、面倒がかかる可能性があるからこそ、ここで人との触れ合いに携わってもらう」

 俺はこいつらとどうなるんだ。勘弁してくれ。


 人を信用してはいけない。

 何故なら、裏切られるからである。

 人を信頼してはいけない。

 いつか、孤独が待っているのだから。

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