第233話 秀作
「未だ極みには届かぬ秀作なれど刮目して見よ」
緊張が走り動き出そうとした天見と音先の機先を制するように乃払膜が動く。
バサッと乃払膜のガウンは剥ぎ取られその全身が晒された。
「グ・・・」
「ひ・・・」
天見や音先、二人は言葉を言い切る前に晒された乃払膜を見てしまう。
ガウンの下はネックレスやブレスレットなどで飾られた裸の上半身と申し訳程に局部を腰布で隠された下半身、人の体の美をまざまざと照りつけてくる。
天使を描いたように中性的で端整な顔立ち。
鑿で一切の無駄が彫り落とされブロンズ粘土のように練り上げられた肉が織りなす上半身。
花の上でも駆け巡ることが出来そうなすらりと長く引き締まった足。
美しい。
男とか女とかの性を超越した美しい人がいる。神は自分の姿に似せて人を作ったというなら美しい人は神に近いのか、神に近い人は美しいのか。
見穫れてしまう。
美しさは愛か、見ているだけで愛に包まれるというかとげとげしさが消えていく。まるで母の中に帰って行くような。
何の不安も無い絶対的な母の愛に包まれていた楽園たる子宮。
このまま胎児にかえっていけるのなら、このまま・・・。
まずい。
俺は最後の理性を振り絞り、俺は近くにいた鬼の背後に飛び込むのであった。
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