第44話 ネタにするということ
つくづく思うのは、世の作家は、友達いないだろうなあ、ということです。作家にも色々あると思うのだけど、ノンフィクション系の作家など、自分だけじゃなくて自分の身内から友人から、関わった人間全部をネタにしまくって、それを本にして売るじゃないですか。中には、書かれたら恥ずかしいような事まで書いてあるのですよ。
ゲッツ板谷さんの「板谷バカ三代」シリーズなどは、凄まじいのです。内容としては、板谷さんとその家族、そして友人や兄弟の友人、立川の実家のご近所さんとのトラブル、ヤクザの叔父さんまで、色んな人が出てきます。みんな、実在の人達です。
あるエピソードなど、今だとちょっとマズい(昔でも相当ヤバイ)ようなお話があって……たしか、仲の悪いご近所さんとの度重なるトラブルの末、相手方の家の長大サボテンを高枝切りばさみかなんかで、ちょん切っちゃったっていう、すっげえ馬鹿話があって……気になる方は、板谷さんの本を読んでみてください。もっと酷い事がいっぱい書かれていて、私は読んでメチャメチャ笑いましたけど、真面目っ子の人はたぶん気に入らないだろうと思います。
私の場合、自分の身に起きたトラブルをエッセイに書いたりするのですが。まあ、書かれた人が怒ってくる事もありますよ、たまに。しかし、マジでシャレにならない事は実は、書いていないのです。そこが、私の限界ですね。なぜそういう限界があるのかというと、たぶん、作家じゃなくて物書きだからです。もしも作家なら、一番痛い所を
書けないですよ、普通は。本当に人を刺す文章など。それを、するのが作家なんですよ。本屋に行くとそういうのが沢山、置いてあるのです。もう、見たくもないようなタイトルが。凄まじいですね。私はそこまで、出来ないと思いますよ。失うものがあるからなんだろうと思います。だから、書けないですね。
それにしても、なんだろうなあ。とある物書き仲間が、消えたんですよ。最近。その方は、私のストーカーを公言しておられたのです。まあ、冗談だとは思いますが……実際の所、ストーカーっぽかったですけどね。私が何か書くと、全部自分への嫌味だと思って怒っていたし。「違うよ」って言いに行くのも、おっくうなので言いに行きませんでしたが。おっくうに思っているうちに、いなくなってしまいました。投稿サイトから。
その方の文章が、沢山残っている場所があるんですよ、実は。それは、私のブログと、ある投稿サイトの活動報告なのです。他の人が見たらドン引きする内容なので、非公開にしてあるのですが。それはそれは、沢山残っているのです。なんか、皮肉としか言いようがない。喧嘩になった相手の所に、多くの痕跡が残っているとか。
思うに、それが結果なのだとしたら、それが、何なのか考えるに……
具合が良くなったら、またあのペンネームで、書いたらいいじゃないですか。私が一番、覚えているあの名前で。あのペンネームだった頃の文章は、確かに良かったですよ。テーマは「渇愛」。求めても得られないものへの、憧れ。それは、生臭い言葉とは裏腹に、美しかったのです。
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