第12話 何に反乱を企てるのか。

街の喧騒に歩く、夜の中に獣の姿を見る。

読まれない小説を書く無名の作家に言いたい。

君の言葉は、いつか誰かが心に留める。

だから、書き続けてくれ。

誰もいない虚空に向かって、こぶしを振り上げていて欲しい。

そこに、誰もいないように思えても。

君は気が付いていないだろうが、見ている目がある。

そしていずれその怨嗟はある形になって燃え上がる炎のように

暴れ狂って突きつける。

誰かが優しく君を捕らえて楽園に引き回そうとしたって

獣は飢えたまま鎖を食いちぎるんだ。

飢えたまま、奔流の彼方へ導く鋼鉄の魂。

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