第7話 幽玄魔境

靄(もや)の向こうに待ち人あり。

その女は、どうしたって白いワンピースを着ていて、髪は背中の中ほどに流してある。

他のイメージは・・・無い。

棘がかの者を「自縛」する。逃れる術は無いようだ。

血が流れている事に気が付いていないが、戦場を求めるのはそのためだ。

さて、これを何と解く。


巫女が諦めたように依頼人に告げた。

「戦う際、火を灯すのです。・・・いいえ、内なる火です。血が湧きたつような、そんな物語を。悪を取り入れ、悪ですね。善では弱い。負けたく無ければ・・・」


奇妙な宣託を持て余すその人物は、暗夜行路の旅路へ。

生き地獄。因果は廻り、歩く限りは出口が無い。

飛翔するには、神の翼があればいいが・・・果たしてそれは、本物であろうか。


思うに、陽炎のようなものだ。触れようとして行ってみれば、そこには何も無い。

記録にはこうある。「私には双子の、似ても似つかないきょうだいがおり、恨みをもって私を責める。その理由はただ、親の愛を独占した事による。きょうだいに光を当てて欲しいものだ。お前の手にそれを託そう。そして、その願いが届けられた時、呪いは終わるだろう」


無名の作家は苦悩する。

その道のりは、混沌である。そして一人、祈るしかないのだ。

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