第6話 背に刀傷のある剣士

飛び交う矢を、刀で薙ぎ払う剣士・・・まあ、とある無名作家の炎上現場(戦場)での出来事ですな。背の傷は、推して知るべし。


小説を発表する場が「楽しい交流の場」になるのか、はたまた「戦場」になるのかは、その作家が芸術家か剣士か、その資質に依るものだと思う。

そうなりたくて、なるのでは無いという所が・・・重要だ。


その無名作家は、死ぬために戦場にいる。

だけど、剣を振る度に生きるのだ。この矛盾。

「そこをどけ、どかねば斬る」

そんなセリフが思い浮かぶ。なぜそんなにも戦うのか、その理由を問うてみた。


「死の他に、望む物が無い」

そんな答えが返ってきた。一体、どんな生き方をしたらそうなるのか。

傍から見れば、気楽に見えるのだが。心の中に、何を飼っているのか・・・

色彩はどこまでも暗い。何を以ってしても塗り替えられそうにない異形。


似た姿を探して回るが・・・どいつもこいつも、奇妙で愛すべき仲間の小説家志望である。その姿が奇妙であればあるほど面白い。

「もっと変な事やんねえかなあ」

そんな風に思いながら。ひらめきは煙の中に宿る。その苦みを、思い切り肺に送り込んで、吹いてみるんだ。






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