嘘の現世へ
僕は階段を慎重に上っていく。
廃倉庫の一回を地獄と見た立て、怨霊を現実化させようとしているなら廃倉庫の二回
は偽りの現世と言える。霊力は精神力の力、それは怨霊も僕達も変わらない。似ているものは、同じ力を持つ。霊の世界の基本的な約束事だ。だから怨霊を復活させ現世にとどめる力を得るためにはかりそめの地獄を作り出し、力を与えるしかない。そして僕は怨霊に勝つために、ただの廃倉庫と言う現実を突きつける必要があった。
だから僕は、廃倉庫の二階に入り、窓を開けて、清浄な空気を取り込み、霊的な意味を持つ空間から、ただの廃倉庫と言う現実を与えて、怨霊の力を弱めるつもりだった。非常階段を上り、事務所のドアに立つ。ワイヤーの入ったすりガラスが真ん中に大きくあり、窓を割れば鍵を開けれそうな構造になっている。僕はリュックサックにいれていたガムテープを取り出し、窓ガラスん張っていく。音を立てないためだ。他の人に気づかれて、警察に通報をされるのはまずい。
落ち着け。
ガムテープを張り付けると僕はガラスにハンマーを叩きつける。
音は出ない。もう一度叩く。今度は真ん中だ。
僕はゆっくりとガムテープを外す。
鍵に届く様に窓ガラスは割れている。
僕は腕を入れ、ドアのカギを開ける。
そして、そっとドアノブを回し、ゆっくりとドアを開けた。
そこには闇の世界が広がっている。地獄も闇なら現世も闇、その方が怨霊にとって都合が良いのだろう。当然、霊的な警備もしているだろうと思う。
他人から見たら、烏帽子狩衣姿の男がエアガンを構えて、侵入の態勢を取っていたら滑稽だろう。そんな事はどうでも良い。僕はガンライトの明かりを頼りに廃倉庫の踏み込む。結果に守られているので、霊的なダメージは受けない。
僕は一番手時かな窓ガラスを開けようとする。
すると、ガンライトに照らし出されて、黒い影が映りこみ襲ってきた。
生者を忌み嫌う、人の闇が作り出して、陰気の世界でしか生きられない形を持たない魑魅魍魎だった。
ガンライトの光で霧散しないと言う事はそれなりの霊力を持つと言う事だ。
僕は落ち着いて、レーザーサイトで狙いと縁を結び、安全装置をセーフティから三点バーストに切り替える。
そして引き金を引く。
かしゅん
かしゅん
かしゅん
魑魅魍魎に3発のエアガンの弾丸が吸い込まれていく。
実体化していない魑魅魍魎にエアガンの弾丸が効く訳が無い。
だけど、エアガンの弾丸には烏枢沙摩明王様の霊力と加護が込められている。
当然その霊力は魑魅魍魎の霊力にとらえられる。
魑魅魍魎は闇で邪気で水属性、光と破魔と炎属性を持つ烏枢沙摩明王様の霊力の前にはひとたまりも無かった。
魑魅魍魎は力が弱くて、烏枢沙摩明王様のご加護の前では実態を維持できない。
属性が弱点なのだ。
こつん
こつん
こつん
エアガンの弾丸が床に落ちる音だった。
魑魅魍魎は烏枢沙摩明王様の霊力で成仏したのだ。魑魅魍魎の霊力が無くなると霊弾丸を捉えていた霊力が消えるので、弾丸は地面に落ちる。魑魅魍魎が消滅した証だ。
先の方までガンライトで照らしても、霊的な存在は捉えられなかった。
僕はエアガンから手を離すと窓の鍵を開け、窓を開けた。
朝早くの清浄な空気と光が廃倉庫の中に入ってくる。
僕は小さい声でつぶやいた。
クリア
そして次の窓に向かってゆっくりと歩いて行く。
積み上げられた段ボール箱の陰からガンライトを避けて、魑魅魍魎が襲ってきた。
本来は聞こえないはずの、烏枢沙摩明王様の霊力で強化された早九字の結界で魑魅魍魎が焼かれるじゅうとする音がする。僕も少し影響があり、悪寒が走る。
すでに結界に触っているのでエアガンは使えない。リーチの中だった。
僕はエアガンを手放し、スリングベルトを着けているので床には落ちない、左手で腰にあるサイドバックを開けて、塩をつまむと、烏枢沙摩明王様の印字を思い浮かべる。
その印の言葉である、ウンと唱えながら塩を投げつける。
印を浮かべ、真言を唱えて、烏枢沙摩明王様の霊力と加護を塩に乗せる。何度も何度も訓練して実践してきたことだ。
「ぐぅう」
魑魅魍魎の悲鳴が聞こえた。
そのまま烏枢沙摩明王様の霊力と加護で霊的にも得ながら消えて行った。
そして周囲を確認して次の窓を開けた。
急速に怨霊に支配された現世と地獄では無く、ただの廃倉庫になっていく。
僕は通路側の窓を開けながら進んでいくと階段が見えてきた。
清浄な空気にも、僕のガンライトでも霧散できないほどの闇。
かりそめの地獄の入り口だった。
かすかに闇が動いている。
地獄の番人なのだろう。
三体の魑魅魍魎だった。
僕は遠距離から静かに片付ける事にする。
僕は左ひざを床に着けて膝立ちの状態になる。
そして、エアガンのストックを肩にきちんとつける。ガンライトで照らし出し、レーザーサイトで狙いと縁を着ける。
僕はエアガンのセレクターをフルオートに切り替える。
そして、引き金を引くのだった。
闇が漂うあたりにエアガンの弾丸が次々と引き込まれていく。
たん
たん
エアガンから空打ちをする音が聞こえる。冷静でいるようでいて、やはり落ち着いてはいないのを自覚する。大丈夫。地獄の番人の魑魅魍魎は大量の弾丸で全て消え去った。僕は無意識に弾倉を交換している。
全ての窓を開けるべきか、一階に向かうべきか悩む。
涼子ちゃんと怨霊の事を考えると僕は階段を降りるべきだと判断した。
僕の力は通用しているのだから。恐るべきものは何もない。
僕はガンライトで床を照らし、ゆっくりと階段を下りってい行った。
再開へ続く
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