かりそめの地獄へ
僕は廃倉庫の駐車スペースからブロック塀で隠された通路にいた。
まがまがしく見えた昨日の廃倉庫。
怨霊が実体化しやすい様に作られたかりそめの地獄。
その事を知っている僕は恐怖は無かった。ただ涼子ちゃんの無事を祈っている。
思い込みの激しいのも涼子ちゃんの性格のままなんだなと思う。
僕は階段の前でフリースを脱ぎ、リュックサックを下ろすと、中からエアガンといろいろ付属品が付いたタクティカルベストを取り出す。弾倉良し。塩よし守り刀よしと手にして確認していく。そして最後に僕達一族に許された烏帽子を身に着ける。
狩衣と烏帽子をかぶる事で霊的な守りを完全にする。
そして、スリングベルトを通してエアガンを体に密着させる。塩を投げたり、印を組むために両手をエアガンを離す時があるから、スリングベルトは必須品だった。
ガンライトとレーザーサイトをつける。異状はない。ガンライトで魑魅魍魎を光の世界に出して、消滅させる事はできなくする事はできる。そして、レーザーサイトで照準を着け、レーザーと言う光で縁を結び、霊的なレベルで命中させる効果を高める。
僕はリュックサックを背負いなおし、破魔矢がある事を確認すると刀印と結び早く字を唱える。
「烏枢沙摩明王様の名において、臨、兵、闘、者、皆、陳、烈、在、前、ウン」
最初に烏枢沙摩明王様の最後に印を唱え、結んだのは早く字に作られる決壊に破魔の力と炎の力を与えるためだった。陰気や魑魅魍魎は邪力で水属性だから、陰気や魑魅魍魎に圧倒的な力を持つからだ。それに心を戒めるために。
烏枢沙摩明王様は心の不浄を取り除く金剛夜叉明王様と同体とされるから。
これからする事の不安と弱気を取り除く為に。
そして心を戒める為に。
良し。いくんだ。僕は覚悟を決め、リュックサックからハンマーを取り出して階段を昇って行った。
嘘の現世へ 続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます