綺麗な音 後編

僕は幽霊さんの太ももを見ていた疑惑をそらすべく術に集中する。

一度、暗い感情で汚してしまった自分の感情を清めるために真言を唱える。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

自分のみぞおちを炎で燃やすイメージを強く持つ。

自分は術者であると言う確信を持つ。

それから意識を水晶のペンダントの方に意識を持っていく。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

真言を唱えるのはやめない。

さっきの様にペンダントと自分は一緒であると言う影響関係を強く持つ。

ペンダントの持つ霊力を感じる力は僕の本能が持つダウジングの力と同じ。

さっきつかんだ幽霊さんの霊力を思い出す。

幽霊さんの魂と肉体は同じ霊力。聰亙に影響関係を持っている。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

集中力を維持するために真言を唱え続ける。功徳がある真言はほかにもあると思うけど、僕が進行しているのは烏枢沙魔明王様うすさまみょうおうさまだけだからたぶん、ほかの御仏のご加護は得られない。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

どれくらい時間がたっただろうか?

ペンダントをつり下げている右手が痛い。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

一分くらいかな?

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

弱気になるな。術は成功させるイメージだ。

それに幽霊さんを救うのは御仏の道にかなっている事だと思う。ならばご加護がえられる。幽霊さんの瞳を見た僕は術を取りやめる意志は無かった。

「オンクロウダナウンジャクソワカ」

幽霊さんの方から不安な霊力が伝わってくる。

僕は強く思う。

術を収得したのは今現在に困っている人を助けるためだ!

僕は真言を唱えてより、深く集中していく。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

だけどだめだ。幽霊さんの霊力が近すぎて霊力の流行を捕らえられない。

感情が焦り出す。

僕にはできないのか?

そこで仏教関係の友人の話を思い出す。

人の命は、きれいな物だけを持って生ま。れ来る訳じゃなくて、心の奥底から生み出される感情であったり、衝動であったり、行動なんだよと。

そして10個の命を持って生まれてくるんだ。

一番汚い感情は地獄と言う感情、暴力を振るって命を傷つける修羅と言う感情、理性を働かせず衝動に身を任せる畜生と言う感情、理性に制御された理性的な振る舞いをする人の道である人道と言う感情、喜びを感じる感情である天道。仏に道に近づく他の感情もある。駄目だと思って諦めるのも自分なら、幽霊さんの瞳を見て助けたいと思ったのも自分だ。

人間悟れるほど、僕は修行をしていない。

そう思うと気分が楽になる。

だからもう少し、幽霊さんのために頑張ろうと思う。

僕はやっぱり出てきた心もある負のを清めるために真言を唱える。

「オンクダロナウウンジャクソワカ」

真言を唱えてから1分。

幽霊さんの霊力の流行をつかめない。

まともに修行していないのに当たり前だ。

まだまだだ。

「オンクダロナウウンジャクソワカ」

2分目。

落ち着け。大事なのは自分を信じる事。

「オンクダロナウウンジャクソワカ」

3分。

何か不思議な感覚に捕らえられる。僕の体を後ろから光が追い越していく。

かすかに水晶のペンダントが動き出す。僕は水晶ペンダントに引き込まれていく感覚がする。

僕は水晶ペンダントは僕で、僕は水晶のペンダントだった。

「オンクダロナウウンジャクソワカ」

5分。

僕の頭の中できーんと言う不思議な音が響いた。

かすかに幽霊さんの霊力の流行、縁を掴めた。

それと同時に水晶のペンダントが動きだす。

ペンダントは西北に向かって動いていた。

「やった!」

僕は周りの視線を気にせず喜びの声を上げる。

「場所は分かったの?」

幽霊さんは少し不安そうな声で尋ねてくる。

僕は微笑みながら答える。

「だいたいの方向だけどね」

幽霊さんは満面の笑みを浮かれるのだった                       

                   見鬼についてへに続く        

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