綺麗な音

僕は方位磁石で正確に網の目模様が描かれた紙を東西南北の向きに合わせる。

方位磁石を霊的なアンテナに直接使えれば良いんだけど、僕の霊力がそこまで動かない。水晶の持つ霊的な力、霊力を感じるアンテナが必要だった。

僕は結跏趺坐けっかふざをし、精神を整える。そして静かに紙の上にペンダントを下ろした。

「これからペンダントを清めて、僕だけの霊的なアイテムとするから、変な目で見ないでね」

この小さな町で僕のこうした奇矯な行動は問題視されない。閉鎖的な街だし、代々神社に使える一族でオカルトを生業としていることを知っているからだ。

「はい♪楽しみにしてます」

占いを見るのが楽しいのだろうか?女子高生だから?

僕はなぜ?幽霊さんを彼女だと思うのだろうか?

そんな事よりペンダントの聖別だ。

自分との縁を結び、魔法のアイテムとする。

僕は西洋魔術なんか学んだ事がないからほとんど独学だった。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

烏枢沙「オンクロダナウウンジャクソワカ」魔明王様の真言を唱えながら、自分の鳩尾から全身に炎に包まれるイメージを持つ。まずは自分を清め、集中力を上げるための儀式だった。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

意識を少しずつ、水晶のペンダントに移していき、炎で清めるイメージをする。呪術で言われる聖別と呼ばれる儀式だ。自分と聖別したアイテムを自分の一部とする。一体化したことを感じる。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

僕は目をつむり、ひたすらに真言を唱えて、自分を無にし、幽霊さんの霊力を感じようとする。魂と肉体のつながりは元は一つの物だから深くて強い関連性を持つから霊的な繋がりである縁を持つ。

だから幽霊さんの霊力の向きは、霊力の無い僕でも捕らえる事ができるはず。

かすかに幽霊さんの霊力を感じペンダントが動いた。

風も無いののペンダントが揺れ始めた。

もう直ぐだ。

僕は集中力を高めるために真言を唱え続ける。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

幽霊さんの霊力をペンダントが捕らえた。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

それを感じ取るために集中する。

少しずつ時間が過ぎていく。

「オンクロダナウウンジャクソワカ」

だけど霊力の流れをつかめない。

僕は少し焦り出す。

その時、ペンダントが少し動いて方向性を指し示した。

僕は静かに目を開けて、ペンダントの指し示す方向を見る。

そこには?

そこには?

                             綺麗な音2続く 

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