ダウジングですよ
「相変わらず桜がキレイですね」
僕は幽霊さんと出会った小川が流れ、桜が植樹されている小さな公園に着いた。
朝と昼間と言う中途半端な時間にいるために人影は無かった。
冬が終わり、春が始まる季節だ。
満開の桜はとても美しい。
「そう言えば今年は花見してないな」
僕はそう言いながら背負ってきたリュックサックをベンチに起き、いろいろな物を取り出していく。この街の地図帳が二つ、チェック模様に線を引いたたくさんの紙,
方位磁石、細長い箱を取り出す。
「お花見ならしたじゃないですか?」
むすっとした声で幽霊さんが答える。
「してないよ」
「しましたよ」
「記憶に無いよ」
「忘れちゃったんだ」
幽霊さんはどことなく悲しそうだった。
「いつしたのかな?」
僕は気になって話し続けた。
「昨日の夜と言うか今朝の早朝、忘れたんだね」
怒りと悲しみが入り交じった声だった。
「えっ」
僕はハッとする。そして自分で自分を殴りたくなった。確かに僕は幽霊さんにこの公園で出会っていた。僕は幽霊さんに魅入られて花見所じゃなかった。
「花見をしていたね。それどころじゃなかったからごめんね」
「それどころじゃなかったってどういう事ですか?」
「君に魅入られていた」
「えっ?」
僕は照れて早口で言う。
「そこのベンチに座って」
「誰に魅入られていたんですか?」
少しうれしそうに幽霊さんは聞いてくる。
「ベンチに座ってね。準備があるから」
今度は幽霊さんベンチへ座る。
「ちょっと待っててね」
僕はそう告げると方位磁石を使い、桝が着られた紙を東西南北に正確にあわせる。
そして細長い箱のふたを開けて、水晶のペンダントを取り出した。
幽霊さんが興味津々で見ているのが分かる。ペンダントを取り出した時に話しかけてきた。
「かわいいペンダントですね。何に使うんですか?」
僕は水晶がかわいいと言う、女子高生の、なんで女子高生と思ったのだろう?
の感覚は占いはできないと言ってあるから興味があるのだろう。オカルトに興味を持つ年頃だと思うし。だからなぜ?僕はそう感じるのだろう?
「これがかわいいのかな?」
良く分からないぞ、オカルト雑誌の通販で買った6.800円の税別のペンダント。とても値段は言えそうに無い。
「かわいいのですよ。何か占いでもするんですか?」
「占いと言うかダウジング」
「さっき占いとかできないと言ってましたよね」
彼女はよほど気になるか食いついてくる。オカルトに興味を持つ幽霊さん
と言うのも変な感じがする。僕はその不思議さを感じに苦笑いしつつ説明を始める。
「習ってないし、僕オリジナルの術になるから精度は悪いし、手間がかかるよ。だけど何もしないよりましだからね」
僕は少し早口になる。僕のコンプレックスだった。霊的な因果関係、
「ペンダントで見えるんですか?」
やっぱり食いついてくる。
「振り子占いと言うかダウジングで方向を割り出して、三角測量するんだ、見えたらいんだけどね」
「三角測量ってなんですか?」
「おおざっぱに言うと別々の所から振り子占いとして、方向を割り出すんだ。方向っから線を引いて重なった場所を割り出してだいたいの場所を割り出すんだ。数学をきちんと勉強していれば三角形の角度と長さで場所を特定できたんだけど、もう忘れたよ」
やっぱり説明していて情けない。
「すごいですね」
「ちゃんと霊視できればいいんだけどね。僕は霊力の繋がり、縁が全く見えないからね。水晶は霊力を持っているし、霊的な物を感じる力もあるんだ。だから僕の持っているなけなしの霊力と動物が本能的に持つダウジングの力を使って、方向をわりだんだ。ダウジングでは方向しか分からないから三角測量するよ。幽霊さんと幽霊さんの体は一番強く霊的な繋がりがあるはずだから、水晶をアンテナにして見つけようと思うよ」
全力で僕の霊能力が低いと説明して自慢している気がする。
少し凹む。なにか普通じゃない駄目な事言っていて情けない。
幽霊さんが理解してくれているか分からないけど早口でまくしたててしまった。
普通じゃない方法で見つけ出す事も二重に恥ずかしい。
「さっき話した三角測量もどきだけど、もう一ヵ所でダウジングしてだいたいの場所を割り出すよ。準備するよ」
そう言って僕は東西南北が書かれた紙の横に片膝をつくと息をはいた。
いよいよ占いが始まる。
綺麗な音に続く。
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