4 その恋は、空の色をしていた。
その恋は、空の色をしていた。
「お邪魔します」
桜井蛍くんと仲良くなった貝塚菜奈は蛍くんの両親とお医者さんの許可をもらって、蛍くんの入院している病室に度々(お母さんのお見舞いの間の時間い)遊びに来るようになった。
いつものように菜奈が蛍くんの病室の中に入るとそこに蛍くんの姿はなかった。ベットはもぬけのからだった。
だけど窓は開けっ放し。
そこから青色の空と夏の大きな白い雲のある風景が見えた。……やさしい風が白いカーテンを揺らしている。菜奈は病室の中を移動して、その窓をそっと閉めようとした。
その途中で、菜奈は一人で、少しだけ蛍くんの病室の中の風景を見渡した。
きちんと整頓された、物の少ない病室だった。
サイドテーブルの上には、小さな天体望遠鏡のおもちゃが置いてある。その横には宇宙とか、宇宙飛行士、それから天体や宇宙に関する科学雑誌が置いてある。(今月号だ)
それらの忘れ物(きっと忘れ物だ)を見て、菜奈は一人、小さく笑った。
「いい風」
菜奈は言った。
菜奈は蛍くんの病室の窓を閉めようと思ったけどやっぱり開けたままにしておくことにした。
それから菜奈は蛍くんがいるであろう病院の屋上に移動をすることにした。
ちょうど菜奈も空を見たいと思っていたから、それはすごく良いタイミングだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます