言わずと知れた話題作『色盲の歌うたい』がカクヨムにやってきました。カクヨムユーザーの皆様にも是非見ていただきたい作品です。
本作は『色盲の歌うたい』を筆頭に構成された短編集ですが、もちろん『色盲の歌うたい』だけが売りの作品ではありません。
しかし、はじめに『色盲の歌うたい』について触れないわけにはいきません。
生まれつき色盲を患い(私は色盲を病気とは考えていませんので、患うという表現は不適切かもしれません)色を知らない少女は、バイオリンひきの男性との出会いを通して、目で見ることだけではない、色の感じ方を知ります。
そして彼女は歌で自分の色を表現したのですが、彼女の歌は思わぬ方向に独り歩きしてしまい……
最後の一行で、誰もが衝撃を受けるはずです。
次に本作の二作品目として公開されている『おどりこ姫ノーラ』について。
とても美しいおどりこノーラは、父との約束を果たすために、本当の愛、幸せの場所を見つけるための旅に出ます。
旅先で出会った男たちは、すぐに美しいノーラに恋心を抱くのです。しかし、幸せを見つけることは容易ではないようです。
幸せを見失っている現代人にぜひ読んでほしい作品です!
最後に本作の特徴について。
大人になって誰もが忘れてしまった、純粋無垢な子供時代の読書体験を呼び覚ましてくれるのが本作です。
本当に大切なものはなにか、じっくり考える機会を与えくれます。
そして何よりも本作の世界観の表現には脱帽です。
くどくどと長い説明や背景描写を書く連ねることが、世界観の表現ではないと再認識させてくれるのです。
後述する表現は一例ですが、本作の一番の特徴と言えるでしょう。
漢字を使わず、(おそらく)意図的にひらがなを使っている箇所が見受けられるのです。
「むすめ」 「おどりこ」 「こいびと」
ひらがなの響きの何と耽美なことか。
これこそ文字で伝える世界観なのだと実感させられるのです。
皆さん読んでください。
小説を書くこと、読むことに疲れたあなたにこそ読んでほしい作品です。
今のネット小説界に必要な作品です!