第14話 パーキングエリアにて

パーキングエリアに着いた。

「じぁあ、お花摘んでくるね」

「うん」

美雪さんは、下りて行った。


僕は、車中に残る事にした。

他にも用事があるのだろう・・・

殆どの方が、バスの外へ出た。


静かになった。

僕には、これがいい。


「疲れましたか?」

「えっ?」

いきなり声をかけられた。


そこには、さっきまで仕切っていた声優さんのひとりがいた。

まさか、声をかけられるとは思わなかったので、驚いた。


「ええ、少し・・・」

自分から声をかけるのは、厚かましくて出来ないが、

かけられた場合は、無視は出来ない。


もう一人の声優さんは・・・

さっきの、奈良から来たという40代の方に声をかけていた。

彼も戸惑っているようだ。


「初めてですか?こういうの」

「はい。なので、なれなくて」

「今回は、どうして参加しようと思われたのですか?」

迷ったが正直に答えた。


「道ずれにされました」

他に表現の仕方がなかったが、間違ってはいない。


「あっ、美雪ちゃんにですね」

「ご存知なんですか?彼女は、面識はないと・・・」

「なら、君が冬樹くんね」

「どうして、僕の名前を」

その声優さんは、笑うだけだった。


もしかして、やられたか?


「これから行く牧場が、美雪ちゃんの親戚というのは、訊いてるね」

「はい。訊いてます」

「私たちは、取材で行った事があるんだ。」

「そうなんですか?」

声優さんはうなずく。


「その時に、知りあったんだ」

「そうなんですか・・・どうりで・・・」


この事で、美雪さんを問い詰めるのは、止めておこう。


もうひとりの彼は・・・

打ち解けているようだ。


ありがたいことだ。



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