手紙

第13話 若い

「みんな、お早う」

「お早う」

なんだ？なんだ？

声優さんふたりの掛け声に、参加者全員が答えている。

「今日は、私たちのバスツアーへようこそ」

「はーい」

「楽しい日にしようぜ」

「えーい」

騒がしい、騒がしすぎる。

賑やかなんて、レベルじゃないぞ。

「だから、言ったでしょ？眠れないって」

「うん」

美雪さんの、問いに答えるしかなかった。

「みんな、どこからきた？関東圏の方」

「はーい」

殆どが手を挙げる。

「あっ、昨日の名古屋のライブに来てくれてたね。ありがとう」

あの声優さん、昨日は名古屋で、ライブをやっていて、今日はバスツアーか・・・

声優さんもだけの、おっかけのファンの方も、体力あるな・・・

「では、関西圏の方」

いないだろうと思っていたら、ひとりだけ手をあげた。

男性の方だ。

４０くらいか・・・

「あなたは、どこからきましたか？」

「奈良です」

「遠くから、ありがとうございます」

その男性の方は、頷いた。

僕と同じように、慣れていないように思う。

おひとりのようだ。

「美雪さん、まっすぐ行くの」

「ううん、パーキングエリアに寄るよ」

「どうして？」

「生理現象」

なるほど

車中は、騒がしかった。

若いって素晴らしい・・・

そうしておこう。