第11話 ファーストネーム
「冬樹くん、荷物は持ってきた」
「うん、あまりないけどね」
いきなり連れてこられた。
手持ちはない。
「じゃあ、チェックアウトしてくるから、待っててね」
「うん」
情けない限りだが、向こうから誘ってきたので、美雪さんに任せよう。
ていえば、横暴だな・・・ジレンマ・・・
「冬樹くん、お待たせ」
「ああ、ありがと」
「私が連れ出したんだから、気にしないでね」
「・・・うん・・・」
何だろう・・・この違和感は・・・
「ところで、美雪さん、今更なんだけど・・・」
「何?」
「どうして僕たち、下の名前で呼び合ってるんだっけ?」
「私は、全員下の名前で呼んでるよ」
「僕は、君だけ・・・」
「不思議だね」
答えにならなかった。
「じぁあ、行こうか」
「うん、待ち合わせ場所まで、どのくらい?」
「電車で、30分ってところだよ」
「間に合うの?」
「多分」
多分って・・・
「事故が起きなければね」
なるほど・・・
こうして、バスツアーに行くための待ち合わせ場所である、
駐車場まで、電車で向かう。
ICカードを渡された。
これも、おごり・・・
後で、返さないとな・・・
「あっ、冬樹くん、返さなくていいよ」
「なんで、僕の思っている事がわかったの?」
美雪さんは、笑う。
「顔にかいてあるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます