第9話 不思議な子

翌朝、目が覚めた。

「今、何時だ?」


スマホもカラゲーも持っていない。

部屋に時計もない。

「懐中時計を持ってきてよかった」

時間を確認する。


当たり前だが、暗くて見えない。


灯りをつけようとしたが・・・

「あっ、美雪さん」

起こしちゃ悪い・・・


そう思っていたのだが・・・いなかった・・・

どこだ?

ユニットバスの部屋の灯りもついていない。


「部屋には、いないのか?」

ベットに手をやると手紙がおいてある。


「美雪さん?」

丁寧に折られていた。


年頃の女の子は、便箋の手紙を器用に折りたたむが、

誰が考えているのかが、気になる・・・


僕しかいないのだから、折る必要はないのだが・・・

広げてみる。


「冬樹くん

お早う。

よく眠れた?


私は、眠れたよ。


少し外の風にあたってくるね。

すぐ戻るから心配しないでね。


今、君がこれを読んでいると言う事は、私はまだ帰ってないね。


先に朝食食べていいよ。


じぁあ、今日は楽しもうね。

日帰りだけど・・・」


いないのを確認して、灯りをつける。

「5時半か・・・」


・・・て。確か6時起きだよな?

早く支度しよう。


そう思い、ロビーで朝食を取ることにした。


そしたら、美雪さんが既にいた。

「やあ、冬樹くん。お早う。待ってたよ」


どこへ行ってたのかを訊こうとして、飲み込んだ。

訊かないほうが、よさそうだ。


「朝食は、何なの?」

「バイキング形式だよ。好きなの食べてね」

「うん」


今日は、バスツアーで牧場へ行く。

それなりに、わくわくしてきた。






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